第2923目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

  • 適切なカリスマを選ぶ


カリスマになる方法はひとつではなく、どんな状況でも効果的なカリスマのスタイルもひとつではない。どのスタイルが自分にふさわしいかを選び、どんな場面で使えば効果的かを学ぶことが、あなたのカリスマの潜在能力を最大限に発揮するために重要になる。


状況が異なれば、ふさわしいカリスマも異なる。そして、その人に向いているカリスマも向いていないカリスマも、人によって異なる。カリスマのどの要素を前面に押し出すかを決めるためには、性格、目標、状況にそれぞれ最もふさわしいカリスマはどれかという3つの視点から評価しなければならない。


性格 自分に何がふさわしいかを理解して、自分の特徴的な強みに合うスタイルやツール、テクニックを選ぶ。
目標 自分が何を達成したいのかを明確にする。周囲をあなたに従わせるカリスマもあれば、寛容さや感情の共有を促すカリスマもある。
状況 自分がどのような状況にいるかを理解する。その状況がカリスマを発揮する舞台になる。


まず、自分の基本的な性格について考えてみよう。


ケリーが2004年の米大統領選挙でおかした間違いのひとつは、集中力と知性のカリスマのレベルを下げて、より「近づきやすい」存在になろうとしたことだ。この戦略は効果がなかっただけでなく、ケリーの本来の性格に惹かれて集まった人々を遠ざけることになった。本人も新しいイメージに馴染めず、そのせいでぎこちない雰囲気になり説得力を欠いた。


それに対し、スティーブ・ジョブズは自分本来のスタイルであるビジョンのあるカリスマを育み、それに忠実であり続けた。彼の性格やリーダーシップには異論もあるかもしれないが、自分らしさを貫き、パワフルであり続けたことは確かだ。オプラ・ウィンフリーは人生の重大な転機で、本物の自分であろうと決めた。第2のダイアン・ソイヤーを目指すのをやめたとき、「自分なりの最高のオプラ」として花開いたのだ。


カリスマになるために、1つのスタイルに自分を押し込める必要はない。自分の価値観に反することはやるべきではない。自分に不利に働くだけだ。本当の自分にふさわしくないスタイルのカリスマになろうと無理をすることは、不愉快なうえに逆効果だ。たとえば、内向的な人が無理に外交的になろうとしても、本人が不自然でぎこちなく感じ、周囲もそのぎこちなさを感じるだろう。しかも、不愉快な経験を自分に強いるだけでなく、自然と外交的になろうという努力も無駄になる。本来のスタイルに抵抗するだけではなく、そのスタイルとともに進む方向を知るほうが、大きな見返りを手にできる。