第2899冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

  • 感謝


感謝の反対は何だろう。恨み、困窮、自暴自棄。どれもカリスマがあるとは言えない。就職の面接でもデートでも、自暴自棄という印象を与えるほど、チャンスを台無しにする要因はない。感謝はそうした否定的な感情にとって効果的な解毒剤となる。なぜなら感謝の心は、自分がすでに持っているものについて考えるところから生まれるからだ。さらに、感謝はカリスマを伝える優れた手段にもなる。物質でも経験でも、大切な人間関係でも、すでに持っているものに感謝することを通じて、目の前に集中してプレゼンスが高まり、自信と誠意が生まれやすくなる。


最近は、誰もが感謝の心を説いているようだ。オプラ・ウィンフリーは「感謝日記」をつけようとすすめる。複数の研究から、感謝の心を持つと、より健康で幸せに長生きできる傾向があることもわかっている。感謝がさまざまなかたちでカリスマを高めることは、感謝の効果に関する科学的データと同じくらい説得力がある。感謝の心を持つと、表情が和らぎ、体全体がリラックスするなど、全身のボディランゲージが即座に変わるだろう。そして、ボディランゲージから誠意とゆるぎない自信が発散され、人々は心を動かされる。


ただし、感謝しようと思うだけで感謝できるものではない。実際、大半の人にとって、感謝することは難しい。人間は快楽に順応する生き物だ。快楽や幸福感に慣れると、当たり前だと思いやすい。さらに、感謝しろと自分に言い聞かせても、罪悪感を招くだけで逆効果になることが多い。人から「感謝しろ」と言われると、感謝しない自分を腹立たしく思ったり、罪悪感を覚えたりするだけだと、私はクライアントからよく聞かされる。


感謝の心を引き出す方法のひとつは、目の前にある些細なことに注目することだ。たとえば、私は先日レストランでランチミーティングをしながら、小さな喜びを探した。窓から太陽の光が差し込んでいること、空が青いこと、ウエイターが私の注文を間違えなかったこと、手を伸ばせばケチャップがそこにあること。


三者の目で自分の人生を眺めることも、感謝の心を高めるツールとして効果がある。自分を主人公に、前向きなシナリオを書いてみよう。