第2900冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

  • 感謝2


たとえば、4章で否定的な感情をコントロールする方法を説明した際に紹介したグラフィックデザイナーのメアリーは、次のようなシナリオを書いた。


「メアリーはとても素晴らしい人生を送っている。安定した収入を得られる仕事もある。つらい肉体労働に耐え、あるいは仕事が見つからない人もたくさんいるのに、彼女はオフィスで礼儀正しく扱われ、たくさんの同僚から尊重されている。友人や家族にも愛され、評価されている。みんなが心から彼女を思いやっている。彼女自身もよき友人であり家族だ。誰かが自分を必要としていれば、じっと寄り添うこともある。きょうも彼女はまずまずの1日だった。報告書を完成させ、手伝ってくれた同僚に感謝を伝え、ジムで汗も流した」


重大な出来事を並べる必要はない。メアリーのように、自分の人生にとってささやかだけれど大切な、前向きなことこそ、感謝する対象にぴったりだ。


このテクニックは、本書で紹介するテクニックと同じように、書くという行為が決定的な違いをもたらす。書くことによって、前向きな感覚を、より現実的にしっかりと経験できるのだ。あなたの人生を第三者が見ているかのように想像するだけでは、現実感がまったく生まれず、重みも薄れるだろう。しかし言葉にして書くと、最初は違和感を思えたシナリオお、最後には奇妙なくらい現実らしく感じるだろう。