第2922目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


権威のカリスマがあると、周りがあなたの言葉に耳を傾けるようになり、従う人も多いだろう。ただし、これには深刻な副作用もある。他人の批判的な思考を抑制すること、フィードバックを引き出せないために必要な情報を得にくいこと、傲慢に見られやすいことだ。


ここで役に立つのが、誠意を醸しだすテクニックだ。誠意は、傲慢で威圧的な人だと思われるリスクを減らすだけでない。高い地位があると思われている人が誠意を示せば、その価値ははるかに高くなる。地位の低い人があなたを喜ばせようとしても、親切な気持ちは感じるかもしれないが、その熱心さを高く評価するとはかぎらない。地位の低い人は多くのことをしているわけではないからだ。それに対し、地位の高い有力者が私たちに注意と誠意を向けると胸が躍る。彼は私たちのためにも山を動かせる人なのだから。


権威のカリスマは、ビジネスのさまざまな場面で効果を発揮する。さらに、自分の言葉に耳を傾けさせ、言うとおりにさせたい場面でも役に立つ。危機的状況でただちに人々を自分に従わせなければならないときは、とくに効果的だ。一方で、冠婚葬祭や、ビジネスで悪い知らせを伝える繊細な場面では、権威のカリスマを持ち出さないほうがいいだろう。また、権威のカリスマは相手の批判的思考を抑制するので、誰かの創造性を伸ばしたいときや、建設的なフィードバックを促したいときも避けるべきだろう。これらの場面では、変わりに集中力のカリスマやビジョンのあるカリスマ、優しさのカリスマを使おう。