第2613冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 快適さのサイン


家族や友人との会話なら、快適かどうかはすぐにはっきりする。みんなでいっしょにいて楽しく快適であれば、それを感じることができる。同じテーブルについているとき、互いに快適さを感じる人は、視界を遮るものがないように間にものを置かない。時間がたつにつれてだんだん近付き、あまり大声で話さなくてすむようになっていく。快適さを感じている人は体を隠す姿勢をやめ、胴体の多くの部分や、腕と脚の内側を見せるようになる(体の前側を相手にさらす)。見知らぬ人がいる場では、快適な気持ちになるのは難しくなり、正式な面接や宣誓証言のようなストレスの多い状況では特に難しい。そのため、人との関わりの一番最初から、快適ゾーンを作り上げるようにベストを尽くすことが重要だ。


快適な気持ちでいれば、ノンバーバル行動に同調性が生まれる。心地よい二人は同じリズムに近付き、話のトーンとピッチ、全体的な姿勢も似てくる。カフェで寄り添って、心から快適そうに座っているカップルを思い浮かべてみよう。一方が寄り添えば、もう一方もそれに従い、模倣行動として知られる現象が生まれる。立ち話をしている二人の場合、一方が手をポケットに入れて脚を交差させ、体を傾けると、もう一方も同じ姿勢をとるようになるだろう。相手の行動を模倣することによって、私たちは蒸し無意識のうちに、「あなたといっしょにいて快適です」と語っている。


面接の場や、難しい問題を話し合っているような状況では、同調性があれば時間とともに両者が相手を模倣するようになる(チアルディーニ、一九九三年)。参加者の間にも調和がなければ、このような同調性に欠け、それがはっきりわかる。座り方はまちまちで、それぞれがバラバラな方法やトーンで話しているか、少なくともそれぞれの表現が、完全に異ならないまでも一致していない。同調性の欠如は効果的なコミュニケーションをはばむ壁になり、面接や話し合いの成功にとって大きな障害となる。


面接や話し合いで、こちらがリラックスして落ち着いているのに、相手がずっと時計を気にしてたり、緊張して動きの少ない(急速冷凍したような固まった)座り方をしていたりするなら、訓練を受けていない目にはすべてがうまくっていっているように見えるかもしれないが、快適ではないことを表している(ナップとホール、二〇〇二年、シェーファーとナヴァロ、二〇〇四年)。相手が話し合いの中断を求めるか、会話を終わらせる言葉を盛んに繰り返す場合も、不快感のサインだ。


明らかに、本当のことを話している人たちには快適さが表れるのは一般的で、その場合には隠しごとのストレスも、不快にさせる後ろめたい知識もない(エクマン、一九九二年)。だからウソの可能性を判断したいなら、不快のサインを――いつ、どのような前後関係で起こったか――探すようにする。