第2614冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 同調性


人との関わり合いで感じる快適な気持ちを判断する方法として、同調性が重要なことはすでにこの章で説明した。ただし、同調性はウソを判断する上でも重要だ。言葉の内容とノンバーバル行動の間で、現在の状況と相手が話していることとの間で、出来事と感情の間で、そして時間と空間の間で、同調性を探すようにしよう。


質問をされた人が肯定的な返事をするときには、口で言ったことを裏付ける頭の動きが、遅れることなくすぐに見えるはずだ。「私はしていない」と口で言いながら、頭がうなずくように縦に動いていれば、同調性に欠けている。同じように、「ウソをついているのか」と訊かれた男が「いいえ」と答えながら、頭がわずかにうなずけば、やっぱり同調性に欠けている。自分のヘマに気付いた人は、あわてて頭の動きを変え、失敗を取り戻そうとする。同調性に欠けた行動は、わざとらしく、おそまつに見える。たいていウソのことが多い。信頼できない「私はしないない」と後には、後からわかるほど遅れて、あまり勢いのない、否定する頭の動きが続く。こうした行動は同調性がなく、不快感を示しているので、ウソとみなされることが多い。


話されている言葉と出来事の間にも、同調性があるはずだ。たとえば両親が赤ちゃんを誘拐されたと申し立てる場合、その出来事(誘拐)と両親の感情の間に同調性があるだろう。取り乱した母親と父親が夢中で警察の捜査を求め、ことの詳細を強調し、絶望感のどん底を感じながら、自分の身を危険にさらしてでも助けたいと、何度も言いなおしながら状況を説明する。同じことを落ち着いた様子で伝え、整然とした冷静な説明を、たいした感情の起伏もなしに進めたら、または自分の身の安全と、どんなふうに受け取られるかのほうを気にするなら、まったく同調性を欠き、誠実さがない。


最後に、出来事、時間、場所の間に同調性がなければならない。友人、配偶者、または子どもが溺れているというような大事な出来事を遅れて知らせている場合、または別の管轄区まで出かけて出来事を報告している人は、当然ながら疑うべきだ。さらに本人の位置からは見えなかったはずの出来事を報告している場合も同調性がなく、疑わしい。ウソをつく人は、同調性が方程式にどれほどぴったり収まるかを考えず、ノンバーバルと言葉が最後に裏切ることになる。同調性を保つことは快適さを生み、これまで見てきたように、警察の事情聴取や犯罪の報告で大きな役割を果たす。また、ウソを見抜くことが重要なあらゆる種類の大切な問題について、同調性が意味のある会話の舞台を整えることになるだろう。