第2615冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 強調


私たちは話しながら、ひじ、頭、手、腕、胴体、脚、足などの体のさまざまな部分を自然に利用して、心から感じている点を強調する。人が純粋な気持ちを持っているとき、強調は普遍的なものなので、それを観察することが大切だ。強調は大脳辺縁系が会話に関与するもので、どれだけ強く感じているかを周囲に伝える方法になる。その逆に、人が話していることを辺縁系が裏付けていない場合には、強調が薄れるか、まったくなくなる。ほとんどの場合、私の経験やほかの研究から、ウソをつく人は強調しないことがわかっている(リーバーマン、一九九八年)。ウソをつく人は何を言ってどう欺くかを決めているために知的な判断をする脳を利用しており、そのウソをどう見せるかまでは考えてない。ウソをつかざるを得ないとき、ほとんどの人は、日常に会話にどれだけ多くの強調やアクセントが加わっているかを考えない。ウソつきが答えをでっち上げると、強調が不自然だったり、遅れているように見せたりする。適切な場所をほとんど強調しなかったり、あまり大切でない箇所ばかりを選んだりする。


私たちは、言葉とノンバーバルの両方で強調している。言葉の上での強調には、声質、ピッチ、トーン、繰り返しを用いる。ノンバーバルでも強調していて、会話や聴取で真実とウソを見分けようとするには、そうした行動のほうが言葉より正確で役に立つことがある。話ながら手を使う人は、手ぶりによって言葉を区切り、強調するために机をドンと叩くことさえある。また指先を動かしたり、指先で何かに触れたりして、強調する人もいる。手の動作は正直な話、考え、本当の気持ちを補強する(ナップとホール、二〇〇二年)。眉を上げて目を大きく見開くのも、言いたいことを強調する方法になる(モリス、一九八五年、ナップとホール、二〇〇二年)。