第2417冊目 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)


研究者の間では、人事選抜の方法として面接の信頼度は低いというのが定説になっているが、ほとんどの企業が面接を実施している。そして、「どんな印象を面接官に与えるか」で採用が決まってしまう。就職という人生の一大事が外見や演出で決まるのはどう考えてもおかしいが、世の中は正しいことがかりではない。うまく切り抜けるためには、力強く自身ありげにふるまうコツを身につける必要がある。


その典型例と言えるのが、編集者のアトーサ・ルビンシュタインである。彼女は一九九三年に女性向けファッション誌「コスモポリタン」で、アシスタントとしてキャリアをスタートさせた。そして、五年間で主任に昇進。ハースト・マガジンの社長キャストーン・ブラックの後ろ盾もあって、若年層向け「コスモガール」を一九九九年に創刊し、二六歳にして編集長になる。一〇〇年以上におよぶハースト・コーポレーションの歴史の中でも、最年少の編集長である。二〇〇四年にはコロンビア大学の「最も活躍している歴代卒業生トップ二五〇」に選ばれるなど、知名度は高い。ルビンシュタインによれば、若くして成功したのはイメージ戦略が成功したからだという。自身が近しい人にこう話している。


「私は、女優なの。ビジネスをするときの私は、女優としてふるまっている。たいして才能はないけれど、自分の役割を演じきる自信はあるわ。周囲が期待するファッションに身を包んで、期待通りの役割を演じる。ポニー(「コスモポリタン」誌の編集長)はファッショナブルな編集長が好きだから、私も髪型も服装も変えて、エキゾチックなイメージを演出した。おかげで、本来は黒子であるはずの私が自ら雑誌の中に登場するようになった。すると今度はキャシー(ハースト・マガジンの社長)が、私を「コスモポリタン」の代表として、あちこちのイベントやパーティに送りこんでくれたというわけ」