第1980冊目 1分で大切なことを伝える技術 (PHP新書) [新書] 齋藤 孝 (著)


1分で大切なことを伝える技術 (PHP新書)

1分で大切なことを伝える技術 (PHP新書)


話す力をつけるには、スポーツと同様、「真似る」ことが重要


世の中には、「話し上手になりたい」という人は少なくない。そういう人は、さらにもう一歩踏み込んで、どんなシチュエーションで話せるようになりたいのか、相手にどう思ってもらいたいのか、考えたほうがいい。スポーツと同様、その選択によって、ルールやトレーニング方法は違うはずだ。


たとえば落語家のように話したいのであれば、名人の落語を徹底的に聞けばいい。しかしビジネスのプレゼンがうまくなりたいのであれば、落語を聞いてもあまり意味がない。それは野球の上達のために水泳ばかりするようなものだ。ムダとはいえないが、やや遠すぎる。やはり野球には野球の、水泳には水泳のトレーニング法があるはずだ。


そのもっとも手っ取り早い方法は、モデルは探して真似ることだ。「この人のようになりたい」という対象を見つけ、そのポイントを抜き出して再現し、周囲にいる誰かに聞いてもらう。あるいはその人のトレーニング法を分析し、取り入れる。スポーツでは当たり前の方法だが、こと話す技術について、こういう練習をしている人は少ないだろう。ほとんど練習せずにうまくなる方法を探している傾向がある。


たしかに、人と話すのはあまりにも日常的なことだから、スポーツのように練習が必要だとは考えにくくなっているのかもしれない。そういう考え方から脱するためにも、「話し上手」という漠然とした観点で捉えないほうがいい。どの?スポーツ?における話し上手になるのか、まず明確にする必要がある。