第1976冊目 最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術 [単行本(ソフトカバー)] 島田 久仁彦 (著)


最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術

最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術


国際ネゴシエーターファイル プレゼン・スピーチにまつわるエピソード


プレゼンテーションやスピーチにまつわる私自身のエピソードを紹介します。


私は、以前は工夫を凝らしたパワーポイントを多用するプレゼンテーションを行っていました。それが一気に変わったきかっけは、ある国際会議にスピーカーとして登壇するにあたって、当日急に主催者からパワーポイントなしで話してほしいと頼まれたことにはじまります。


20ページほどのパワーポイントの資料を用意して、事前に読み込んでいたので、直前にそれが使えないとわかり、私は正直パニックに陥りました。そして実際のプレゼンテーションでは、プリントアウトしてあったパワーポイント資料を持って登壇しましたが、実際に話し出すと、ほとんどそれを見ずに30分ほど、これまで経験したことがないほど理路整然と、観衆を見回し、自分の言葉で語りかけていたのです。


聴いていた観衆たちいわく、「スポットライトの中で、微笑みをたたえ、とても自信たっぷりに話していた。すばらしいスピーチだった」とのことでした。それからは、準備は必死にするものの、パワーポイントを作らずに話すことにしました。


私自身、プレゼンテーションをする際には、一番の目的を、観客の視線を一気にこちらに集めることと、居眠りや内職をさせないことに置きます。そのためにこれまでにいろいろと試しました。


たとえば、スピーチの際に、大きなクマのぬいぐるみを抱えて登壇し、舞台の真ん中にいすを置いて、私が話す間、座らせておいたこともあります。後ろから聞いた話では、25分ほど話している間、観客は「彼はいつこのクマの話をするのだろう」と、じっと私の話を聞いていたとのこと。結局私はクマの話はまったくせず、話しおわったらまたクマを抱きかかえて舞台をおりたのですが、結果、誰ひとりの注目も失うことなくスピーチをおえることができました。


ほかには、スピーチの冒頭に歌を歌ってみたり、いきなりため息からはじめたり、脈絡なく今朝起きたおもしろいエピソードからはじめたり……といろいろと工夫を凝らしました。おけげで今では、「今日はどんなスタートかな」と期待してくれる聴衆も多いようでう。