第1337冊目 言いにくいこともスラリと言える話し方 88のアイディア―場面別に○×例! [単行本(ソフトカバー)] 高橋 こうじ (著)


言いにくいこともスラリと言える話し方 88のアイディア―場面別に○×例!

言いにくいこともスラリと言える話し方 88のアイディア―場面別に○×例!


相手のボキャブラリーや用語に合わせること。ビジネスの会話に個性なんて不要です


ふだんから私たちが会話で使う言葉、いわゆるボキャブラリーは、ほぼ似通ったものですが、中には微妙に異なるものもあります。たとえば、ある人にとっての「ズボン」が別の人には「パンツ」、「便所」が「トイレ」、「主人」が「連れ合い」等々。これらは、各人の生活や習慣やものの考え方の反映であり、どちらが正しいという問題ではありません。だから、友人同士の雑談でこうした言葉が衝突し、「なぜ、パンツって言うの?」、「常識だよ」といった話で盛り上がれば、それは個性を比べ、競い合い楽しい会話です。


でも、ビジネスの会話は違います。たとえば、取引先の女性社長の言葉に対してこんな相槌を打ったら、社長を不快にするだけです。


×悪い例
「主人が近くで洋菓子店をやっているんで、ウチは洋菓子には不自由しないんです」
「あ、そうなんですか。お連れ合いはスイーツを……。はあ……(感心する)」


言葉そのものは少しも無礼ではありませんが、社長は「私の話し方に何か問題があるの?」と思い、イラッとするでしょう。それは双方に何の利も生まない摩擦です。


だから、こうした場面では、こんなふうに相手のボキャブラリーに合わせましょう。


○良い例
「主人が近くで洋菓子店をやっているんで、ウチは洋菓子には不自由しないんです」
「あ、そうなんですか。ご主人は洋菓子を……。はあ……(感心する)」


さらにいえば、同じ単語でも、アクセントの位置が違うと気になるものです。


といっても、方言による違いは、まったく不快ではありません。気になるのは、最近、若い人々の間で広がりつつある後ろ上がりのアクセントです。たとえば、あなたの会話の相手である中高年の人が「人生にはドラマがあるのよ」と言ったとしましょう。その際に、「ドラマ」の語を、「ド」が高く「ラマ」が下がる形で発音しているのに、相槌を打つあなたが、「ド」を低く「ラマ」を高くして「確かに、ドラマがありますよね」と言ったら、やはり相手は不快感を覚えます。細かいことですが、注意が必要です。


言葉づかいを変えるのは個性を捨てることだ、と言う人もいますが、ビジネスの現場では捨てていいのです。相手を不快にするだけですから。