第1195冊目 モテる技術 (ソフトバンク文庫) [文庫] デイビッド・コープランド (著), ロン・ルイス (著), David Copeland (著), Ron Louis (著), 大沢 章子 (翻訳)


モテる技術 (ソフトバンク文庫)

モテる技術 (ソフトバンク文庫)


モテる男はデートを「確率のゲーム」だと考える


モテる男は、人生の多くの事柄がそうであるように、恋愛も、「確率のゲーム」だということを常に頭に置いて行動している。言い過ぎたと思われるかもしれないが、女性を口説く行為は、商品を売る行為に似ている。あなたは、掃除機や何かを売る代わりに、あなた自身を売り込んでいるのだ。セールスマンは、一度勧めただけで商品が売れることなどめったにないことをよく知っている。もしも売れたら、それはたまたま運が良かったということで、次はそううまくいかないこともわかっている。


ここで、トップの営業成績を誇るセールスマンの仕事ぶりを見てみよう。マーティンは保険のセールスの仕事を始めてもう四年になる。年は二九歳。セールスの目標を達成しては自ら記録を塗り替えることを繰り返し、社内でも驚愕の的になっている。そしてマーティンが、社内で最も優秀なセールスマンでいられるわけは、彼がごく簡単な人生哲学に従ったて仕事をしているからである。営業成績を次々と伸ばしながら、マーティンが学んだのはこういうことだ。それは、七五人の客に電話をかけても、セールスのアポイントを取れるのは四人、その中で契約を取りつけられるのは一件だけだということである。


マーティンと、彼ほど営業成績が上がらない同僚たちとの違いは、マーティンがこの現実を受け入れていることだ。電話を途中で切られても、相手が留守でつかまらなくても、怒鳴りつけられても、自分を責める必要はないとマーティンは考えていた。すべてはセールスという「確率のゲーム」の中でやっていることで、いつかは必ず契約を取れることができると信じていた。だから、彼はただ顧客の電話番号をダイアルし続ければよかったのだ。遅かれ早かれ、保険契約は取れるのだから。マーティンは、良い結果を思い描きながら、電話をかけ続けた。


ところが、成績の振るわない同僚たちは、営業成績を「確率のゲーム」だと考えることができない。客に振られたり、仕事がうまくいかないと、自分を責めてしまう。営業をしていれば、断られることも当然あるが、いつかは必ず契約が取れる、考えることができず、断られたあとの一時的な後味の悪さをいつまでも引きずり、目標を見失ってしまう。そしてとうとうあきらめてしまう。マーティンが成功に向かって努力し続けるとは対照的だ。もちろん、マーティンだって仕事が思い通りに進まないときには、あせったり、不安になったり、怒鳴ったりもする。けれども必ず、営業は「確率のゲーム」だということを思い出すことができるのである。


モテる男は女性との交際も「確率のゲーム」だと考えることができる。著者が知る限りの一番モテる男でさえ、声をかけた女性のすべてとベッドインできるわけではない。そんなこと、どんでもない。モテる男は、女性に誘いをかけても大部分は、それ以上のものに発展しないことを知っている。


モテる男は、一〇人の女性に声をかけても、そのうちデートに応じてくれるのは一人だと予測している。そして、そのうち一人とセックスできればいいと考えている。モテる男は、現実の厳しさをよく知っているのだ。恋愛は野球に似ている、とモテる男は思う。ホームランをよく打つ選手は、三振も多い。モテる男は、女性に「ノー」と言われたり、約束をすっぽかされたり、口説こうとして拒絶されたりしても、自分を責めたりしない。すべては恋愛というゲームの中の出来事で、いずれは必ず望み通りの女性とベッドをともにすることができると信じているからだ。だから、ただひたすら女性に声をかけ続け、冗談で笑わせ、デートに誘い、この本に書かれている通りのことをやっていくことができる。そうすればいつかは、女性とセックスする機会に恵まれるはずだ。モテる男は、良い結果を頭に描いて、女性に声をかけ続けるのである。