第2007冊目 モテる技術 (ソフトバンク文庫) [文庫] デイビッド・コープランド (著), ロン・ルイス (著), David Copeland (著), Ron Louis (著), 大沢 章子 (翻訳)


モテる技術 (ソフトバンク文庫)

モテる技術 (ソフトバンク文庫)


モテる男は、常に複数の女性を追いかける


モテる男はデートを「確率のゲーム」だと考える……モテる男は、人生の多くの事柄がそうであるように、恋愛も、「確率のゲーム」だということを常に頭に置いて行動している。言い過ぎだと思われるかもしれないが、女性を口説く行為は、商品を売る行為に似ている。あなたは、掃除機や何かを売る代わりに、あなた自身を売りこんでいるのだ。セールスマンは、一度進めただけで商品が売れるなどめったにないことをよく知っている。もしも売れたら、それはたまたま運が良かったということで、次はそううまくはいかないこともわかっている。


ここで、トップの営業成績を誇るセールスマンの仕事ぶりを見てみよう。マーティンは保険のセールスの仕事を始めてもう四年になる。年は二九歳。セールス目標を達成しては自ら記録を塗り替えることを繰り返し、社内でも驚嘆の的になっている。そしてマーティンが、社内で最も優秀なセールスマンでいられるわけは、彼がごく簡単な人生哲学に従って仕事をしているからである。営業成績を次々と伸ばしながら、マーティンが学んだのはこういうことだ。それは、七五人の客に電話をかけても、セールスのアポイントを取れるのは四人、その中で契約を取りつけられるのは一件だけだということである。


マーティンと、彼ほど営業成績が上がらない同僚たちとの違いは、マーティンがこの現実を受け入れていることだ。電話を途中で切られても、相手が留守でつかまらなくても、怒鳴りつけられても、自分を責める必要はないとマーティンは考えていた。すべてはセールスという「確率のゲーム」の中でやっていることで、いつかは必ず契約を取ることができると信じていた。だから、彼はただ顧客の電話番号をダイアルし続ければよかったのだ。遅かれ早かれ、保険契約は取れるのだから。マーティンは、良い結果を思い描きながら、電話をかけ続けた。


ところが、成績の振るわない同僚たちは、営業活動を「確率のゲーム」だと考えることができない。客に断られたり、仕事がうまくいかないと、自分を責めてしまう。営業をしていれば、断られることも当然あるが、いつかは必ず契約が取れる、と考えることできず、断られたあとの一時的な後味の悪さをいつまでも引きずり、目標を見失ってしまう。そしてとうとうあきらめてしまう。マーティンが成功に向かって努力し続けるのとは対照的だ。もちろん、マーティンだって仕事が思い通りに進まないときには、あせったり、不安になったり、怒ったりもする。けれども必ず、営業は「確率のゲーム」だということを思い出すことができるのである。


モテる男は女性との交際も「確率のゲーム」だと考えることができる。著者が知る限りの一番モテる男でさえ、声をかけた女性のすべてとベットインできるわけではない。そんなこと、とんでもない。モテる男は、女性に誘いかけても大部分は、それ以上のものに発展しないことを知っているのだ。


モテる男は、一〇人の女性に声をかけても、そのうちデートに応じてくれるのは一人だと予想している。そして、四人とデートして、そのうち一人とセックスできればいいと考えている。モテる男は、現実の厳しさをよく知っているのだ。恋愛は野球に似ている、とモテる男は思う。ホームランをよく打つ選手は、三振も多い。モテる男は、女性に「ノー」と言われたり、約束をすっぽかされたり、口説こうとして拒絶されたりしても、自分を責めたりしない。すべては恋愛というゲームの中の出来事で、いずれは必ず望み通りの女性とベッドをともにすることができると信じているからだ。だから、ただひたすら女性に声をかけ続け、冗談で笑わせ、デートに誘い、この本に書かれている通りのことをやっていくことができる。そうすればいつかは、女性とセックスする機会に恵まれるはずだ。モテる男は、良い結果を頭に描いて、女性に声をかけ続けるのである。


ところが、モテない男は恋愛を「確率のゲーム」だと考えることができない。拒絶されたり、うまくいかなかったりすると、自分が悪いのだと思ってしまう。誘えば断れる場合も当然あるが、いつか必ずうまくいく、と考えることができず、一時的な惨めな気分から抜け出せなくなる。そして希望を見失い、やがてあきらめてしまう。同じそのとき、モテる男は成功に向かって前進し続けているのに。


女性を誘う技術を習得し始めた頃は、あなたは自分の成績を見てがっくりしてしまうだろう。初心者の場合、熟練したモテる男とは違って、二五人から三〇人に声をかけて、そのうち三人をデートに誘えればいいところだ。そしてその三人のうちデートに応じてくれるのは二人ぐらいだろう。六、七人とつき合って、ようやくそのうち一人とベッドインできる。これが経験を積んだ男なら、二、三人に一人という割合だが。しかし大切なことは、女性が「ノー」と言っても気にすることはない、と知っておくことだ。ねばり強さが必ず成功を呼ぶと信じていれば、あなたはあきらめずに女性に声をかけ続け、いつかは望みどおりの成果を上げることができるのだ。そして、一度目の成功で自信をつければ、次には女性をさそうのがずっと簡単になる。恋愛は「確率のゲーム」だと覚えておきさえすれば、あなたはモテる男になれるのだ。


恋愛を「確率のゲーム」だと考えることによってあなたの心に自信が生まれ、何があっても前進していけるようになる。バス停で女性に近づき、


「君と寝たい」


とささやく男の場合も、「確率のゲーム」という考え方が彼をモテる男に変身させてくれたのだ。


とはいえ、中には、女性の拒絶の言葉をただ聞き流すという考えに異論を唱える男性もいる。彼らは、女性に敏感でありたいと思っている男たちだ。彼らは、拒絶されることこそがモテる男になるカギだという考え方は、男性が今以上に鈍感になることを認めるようなものだと考える。男は無神経だと、女性から常々言われているのどういうつもりだ、というわけだ。


もちろん著者も、男性は女性の言葉や行動の意味を敏感に感じ取らなければいけないと考えてはいる。だが、つき合い始めた頃に関しては別問題だ。出会ったばかりの、お互いを少しずつ理解していく時期に、女性の言動を気にし過ぎることは、セックスに関する限り、自殺行為に等しい。するとこう反論する男性もいるだろう。反省しなければ、行いを「正す」ための努力もしないはずだ。それでは、よく言われる身勝手な男そのものではないか、と。彼らに言わせると、女性に拒絶されて傷つかない男は、自分の魅力に絶対的な自信を持っている男だ。少なくとも拒絶されて傷つくということは、身勝手な男ではないということの証明なのだ、となる。