第1103冊目  ベスト・パートナーになるために―男と女が知っておくべき「分かち愛」のルール 男は火星から、女は金星からやってきた (知的生きかた文庫) [ペーパーバック]ジョン グレイ (著), John Gray (原著), 大島 渚 (翻訳)


恋愛や交渉毎で女が、一枚上手な理由


女性の価値観は、男性たちのそれとはまた違う。彼女たちは、愛、コミュニケーション、美しさ、人間関係をことのほか大切にするのだ。だから、お互いに支え合い、助け合い、そしてぐくみ合うことに多くの時間をかける。彼女たちの人生に対する自己充足度は、フィーリングと人間関係の質に大きく左右される。相手との深い心の交流と親密な関係に生きがいを見出すのである。


だから、女性にとっては、近代的な高速道路や高層ビルをつるくよりは、お互いが愛し合い、協力し合って仲良く暮らすことのほうがはるかに大切なのである。仕事の成功とか科学技術の発展などより、愛情に満ちた人間関係をことのほか重視する人種なのである。


つまり、日常生活における価値観の大部分が、男性のそれとは正判定なのだ。


彼女たちは、自分の能力を誇示するためのユニフォームなど身につけていない。逆に、その日の感情に合わせてさまざまな衣服を着分けることが最上の楽しみなのだ。独自の感性を自己表現することが、毎日の非常に重要な目的なのである。気分が変われば、その日のうちに何度も着替えをすることだってある。


彼女たちにとって、人生でもっとも大切な根本原理はコミュニケーションである。自分の思いを誰かに伝え。分かち合うことのほうが目的や成功を達成するよりもはるかに大切だと思っている。とりわけ、最愛の異性と四六時中、時と場所を共有し、話し合い、心を通じ合わせてお互いの関係を確認することが、幸せに満ち足りた人生を実感できる最大の源なのである。


これが男性には、なかなか理解できない。


自分が競争に勝ったり、難解な問題を解いたりして一つの目的を達成した時に感じるのと同じ気持ちを、彼女たちは心の通った人間関係を実感できた時に持つのだということがわからない。目的達成志向ではなく、心の触れ合い志向の彼女たちは、自分の愛情や親切心、やさしさを表現することを愛するのだ。


男性は、仕事や事業計画などに関して話し合いためにビジネス・ランチをとる。そして、彼らは食事をとるもっとも効率のいい方法は、レストランへ行くことだと考えている。そうするほうが材料の買い出しや調理、食器洗いや後片付けをする必要もなく、合理的だからである。


一方、女性にとっての昼食は、他の人々との親交を深め絶好のチャンスとなる。親しい友人の心の支えとなり、あるいは逆に自分を支えてもらうための場と考えている。したがって、その時の女性同士の会話は、まるでセラピストと患者の間で交わされるような、心を開いた親密なものとなる。


恋愛や交渉ごとに関しては女性のほうが一枚上手かもしれない。金星では、誰もが心理学を勉強し、少なくともカウンセリングに関する単位は全員が取得している
とでも言いたくなるくらいだ。彼女たちは、個人的な成長に非常に興味を示し、精神的に高まることに人生の意義を見出している。