第972冊目  「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール (ブルーバックス) [新書]藤沢 晃治 (著)

比喩のデータベースを持つ

比喩下手な人は、自分がする説明を、その核心が明確になるほどまで分析、整理できていない人なのです。自分の説明の核心を掴んでいるなら、同じ核心を持つ有名な話、歴史上の話、ことわざを思いつくことができるはずです。

そのためには、日々体験することに対し、一つ一つその本質を考え、かみ砕き、自分の脳内整理棚にキチンと格納しておくことです。そうすれば、新しい事も「本質においては、過去のあれと同じだ」と比喩を思いつくことができます。

「丁寧に整理して格納しておけば、直ちに取り出せる」という単純な原理です。このようにして比喩のデータベースを作っていきます。

とはいえ、現実問題として「日々の体験の本質を考え、思慮深く生活する」のはむずかしいかもしれません。そこで安直ですが、人生体験の英知(本質)が蓄積されている格言、ことわざの知識を収集するのも一つの手です。数百円で格言集なども売っています。

比喩には、別にむずかしい格言を持ち出す必要はありません。むしろ、有名なやさしい格言ほど聞き手に分かりやすいと言えます。

「いわゆる、二兎を追う者は一兎も得ず、となります」「井の中のカワズ大海を知らず、のように……」「医者の不養生と同じで、専門家ほど……」と言うだけで、比喩の「住所ラベル」効果によって、説明の意図がすぐに聞き手に正確に伝わります。

比喩上手になって、説明上手になりましょう。