第2064冊目 世界一わかりやすいプレゼンの授業 五十嵐 健 (著)
- 作者: 五十嵐健
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2011/03/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 「自分がどう見えているか?」を知る
自分がプレゼンする姿を撮影する
ここからは、アイコンタクトワークのまとめです。
実際の研修では、プレゼンテーション中に撮影した写真をスクリーンに映しながら行います。
最初のプレゼンターが映し出されると、
「いやだー」という声が上がったりもします。
彼らのその反応は正しい。
なぜなら、写真を見た受講生は大いに反省することになるからです。
さて、ひとりでワークを行ったあなたが、自分で自分の写真を撮ることはむずかしいかもしれませんが、もし職場などでやってみるときは、撮影係を頼んででも写真は撮ってください。
あなたの家に、ビデオや連写が自動でできるカメラがあれば自分撮りをしてみるのも良い方法です。
自分がプレゼンテーションをしている姿を見れば、新鮮な驚きが必ずあると思います。
それから、先ほどビデオと言いましたが、本当は動画よりも静止画がおすすめです。
静止画を連続で見ると、コマ送りのようになり、自分の姿勢や動作のおかしさがはっきりわかります。
残念ながら、実際に撮影した写真をお見せすることはできないので研修でフィードバックしているポイントを以下にまとめてみます。
?アイコンタクトは頭の向きだけで行っている。
「アイコンタクトは聞き手の目を見ればいい」
というものではありません。
たとえば、凝視してしまえば、聞き手をビビらせてしまうかもしれません。強面の人がそれをやれば、威嚇しているも同然です。
また多くのプレゼンターが、アイコンタクトを首から上だけを動かして行っています。
つまり、体は正面を向いたまま、首をひねることで左右の聞き手と目を合わせようとするのです。
ほとんどのプレゼンターは無意識で行っているのですが、写真を見せられると、その姿はあまり行儀がよくないことに気づきます。
なかには、首さえ動かさず、黒目だけを動かしてアイコンタクトをする人もいます。
そんな人の写真を見て、そのことを指摘すると、皆笑うのですが、笑っている受講生の大半が、首から上の横着なアイコンタクトをしているのです。
あなたがもし、このように首をかしげるようにアイコンタクトされたらどう思いますか?
やはり、あまり良い気持ちはしないですよね。
アイコンタクトをするときは、体ごと向けて行いましょう。
意識しないと、つい横着してしまうから、忘れないように!
?手を組むと横ゆれがはじまる
「縦の動きが大事だから挑戦しよう!」と思う気持ちはあっても、なかなか思うようにはいかないものです。
縦の動きを封じてしまうひとつの要因として、「手を組んでしまうこと」があります。
少し実験してみましょう。
今から、自分が思う自然な感じで立ち上がってください。
どうですか?
無意識に手を組んでいませんか?
股間の前あたりで両手を組む。もしくはお尻のうしろで組む。
そのほうが落ち着くのか、人は無意識のうちに、手を組んでしまう傾向にあるようです。研修の受講生も、8割ぐらいの人が手を組んでしまいます。
たしかに、立ちあがってプレゼンテーションをしようとすると、手や腕の置き場に困ります。
だらーっと垂らしても格好良くないし、身ぶり手ぶりといっても常に動かしているわけにもかいかないので、どうしても体の前で手を組んでしまうのです。
さすがに腕組みをする人はなかなかいませんが、手を組んでしまう人はたくさんいます。
なかには、そうしたほうが「礼儀正しく見える」と教わった人もいるようですが、礼儀正しいというよりは、大人しい姿勢であるといえますね。
しかし、股間のあたりで手を組んだら、もじもじしている漢字になり、おなかのあたりで手を組んだら、商売人が手もみしているみたいで品がありません。
ましてはお尻のうしろで手を組んでしまうと、胸を張れば偉そうに見えるし、猫背になればお年寄りの散歩のような印象を与えます。
そして、手を組んでしまう大きなマイナスポイントが、体が前に出ていかなくなること。
そう、手を組むということは、縦の動きを封じてしまうのです。
ところが、縦の動きを封じられても、体は長時間じっとしていられないので動きはじめる。
縦に動けない体は、自然と横に動きます。
体が横ゆれをはじめるのです。受講生の写真にも横ゆれがばっちり写っています。
しかも、かなり大きく横ゆれをします。大きい人では50?くらい揺れるのです。
受講生はこの事実を写真で見せられたとき、かなりショックを受けます。
見るからに、横ゆれをしてふらふらしている自分の姿を見て、愕然とするのです。
また、手を組まない人でも、片足重心になる人がいます。
そいういう人も、片足で長時間体重を支えることはできませんから、すぐに重心を入れ替えることになります。
それを繰り返せば、横ゆれとなります。
ほかにも、前傾姿勢、後傾姿勢の人。片足を前に出して後傾になるとその姿は往年のアイドルスターの吉川晃司さんのようです。
片方の方がずっと下がっている人もいますし、それに引きずられて常に首をかしげているように見える人もいます。
全員の写真を見せていくと、
しゃんと、まっすぐ立っている人のほうが少ないくらいです。
いかに自分の体の軸がぶれているか思い知らされます。
体が傾いていたり、フラフラしていたら、聞き手に良い印象を与えることはできません。
気をつけましょう!
- 複数の人にレビューしてもらうと効果大
もし、あなたが職場などでこのワークをすることができるのなら、このように、写真を見ながら複数の人にレビューをしてもらうと、さまざまな視点から指摘してもらえるので効果的です。
実はこのワーク、プレゼンテーションに自信をもっていた人ほど、ショックを受けて熱心に反省します。
なぜなら、彼らはこれまで、プレゼンテーションが上手だと評価されてきたので、アドバイスをもらう機会が少ないのです。
だから、はじめて自分の欠点を目の当たりにして驚くわけです。
しかし、さすがに上達する人は違います。写真を見て、自分の知らなかった欠点に気づいたら、すぐに改善していきます。
「横ゆれをしない」と意識するだけで変わります。
首から上でアイコンタクトをせず、体を聞き手に向けよう。
手を組まないようにしよう。
笑顔を絶やさないようにしよう。
早い段階で足を前に出してみよう。
そんなふうに心がけることで、「あなたの本気」の伝わり方が変わるのです。
こちらの印象のコントロールのときのまとめと同じです。
改善策にむずかしいのはひとつもありません。
こちらもやるかやらないか。
できることをやる。
「やらなきゃ」と思ったことを即実践する。
ただそれだけのこと。
でも、やらない人が多いから、差がつく。
実際に、このワークを体験する前のあなたは「やらない人」でした。
でも、現実を知ったなたは、改善しようと行動するでしょう?
もう「知らなかった」という言い訳はできないのですから。