第973冊目  すごい説得力: 論理的に考え、わかりやすく伝える話し方 (知的生きかた文庫) [文庫]太田 龍樹 (著)

相手の心を射抜く「アイ・コネクト」


アイ・コネクトは、あなたが誰かを説得する際に、相手があなたを認識し、反応を返したと感じるまで、相手を見続けることです。相手とのつながりを感じ、つながって瞬間を感じながら相手の目をまっすぐ見ることです。そして、相手との信頼のつながりを築いていくことをいいます。

その際、自分の鼻筋を意識して、相手の顔にしっかりと向き合わせてください。体の軸を鼻筋で意識することで、相手に正対することができ、真剣さがより増します。

では、アイ・コネクトをすることで、どんか効果があるのでしょうか?

話しての7分間のスピーチをさせ、その間の話し手の聞き手に対する注視率を変えてみる、という実験が行われました。その結果、話し手の聞き手に対する注視率が高いほど、聞き手は話し手に対して、より博識な人、経験豊富な人、誠実な人、親切な人であるという判定を下す、ということがわかったのです。

また別の調査では、これによると、聞き手が「誠実だ」と感じた話し手は、スピーチした時間の63・4パーセントも聞き手を見ていたのに対し、「不誠実だ」と感じた話し手は、スピーチの時間中20・8パーセントしか聞き手を見ていないという結果になりました。アイ・コネクトするかしないかで、これだけ印象が変わるのです。

私たちは、それほど「目で見える」ことを最大限に信じるということです。だからこそ、説得する相手とアイ・コネクトすることは、自分を信じてもらえるために必須となります。私自身、アイ・コネクトについて思いで深いエピソードがあります。

私がはじめて本を出版したときのことです。編集者に、「なぜ私の本を出そうと思ったのか」と質問しました。すると、その編集者は「太田さんの目力に惹き込まれたからです」といいました。

私は、本業でいろいろなお客様に会うことが多いこともあり、自然にアイ・コネクトが身についていました。そこに、本を出版することへの想いも重なり、編集者への強烈なアイ・コネクトを放ったのだと想います。