第896冊目  フォーカル・ポイント [単行本(ソフトカバー)]ブライアン・トレーシー (著), 本田 直之 (監修), 片山 奈緒美 (翻訳)

フォーカル・ポイント

フォーカル・ポイント

誰かができたなら、あなたにもできる

若いころのわたしはたいした取り柄もなく、肉体労働をし、一年のうち五ヶ月は失業中という日々を過ごしていた。学歴もなければ、たいして仕事の経験もない。頼れる人脈もなかった。しかし一九歳のとき、わたしはこんな自分の人生にふと疑問を感じた。

「世の中に他の人より成功している人がいるのは、なぜだろう?」

それから毎日、わたしはこの疑問の答え探しに熱中してきた。最初にひとつの答えを教えてくれたのが、アリストテレスの論理学における「原因と結果の法則」だ。聖書の言葉で言うと「種まきと収穫の法則」である。サー・アイザック・ニュートンに言わせると、「作用と反作用の法則」だ。この考え方が、科学や薬・技術・ビジネスの分野で二千年以上にわたる進歩を明確に説明している。

アリストテレスの「原因と結果の法則」は、目の前のすべての結果には、特定の原因が必ずひとつ存在するとしている。つまり、何ごともそれが起こる理由があるというのだ。成功は偶然ではなく、失敗も偶然ではい。成功にも失敗にも、特定の原因があるのだ。

なんとわかりやすい理論だろう。さらにこの法則によれば、あなたが手に入れたい結果があるのならば、以前はその結果を手にしていなかったが、今は手に入れている人を見つけ、その人物と同じことを実践すればいいのだ。

成功者と同じことをすれば、最終的にはあなたも同じ結果を得ることができる。どんな目標も、あなたより先にそれを達成した人が、どうやってそこにたどり着いたのかを見つければ、あなたの人生も思いどおりにできるのだ。

私は二三歳のとき、ふとこの考え方を思いついた。まさしくシカゴのボブ・シルバーが私の話を聞いたあと人生が変わったのと同じである。

体格や年齢・人種・性別・学歴は関係ない。あなたも成功者と同じことをすれば、いつかは彼らと同じように成功できるのだ。

哲学者のバーナード・ラッセルは、こう書いている。

「何かをやれるという最良の根拠は、他人がすでにそれをやり遂げたという事実である」

エイブラハム・リンカーンの言葉にも耳を傾けよう。

「誰かが成功をおさめたということは、他に人にも同じことができるという証明である」

新しい情報に直面したとき、偏見を持たず、自分の考え方を修正できれば、猛スピードで変化する世界で成功する大きな力を得ることができるのだ。