第887冊目  和田裕美の人に好かれる話し方 (だいわ文庫) [文庫]和田 裕美 (著)

和田裕美の人に好かれる話し方 (だいわ文庫)

和田裕美の人に好かれる話し方 (だいわ文庫)

言葉を映像で伝える

言葉の背景やイメージを小説という物語から読み取れというT社長のアドバイスは、確実に私の貧弱だったボキャブラリータンクを満たしてくれたのです。

それで、ボキャブラリーはあるけど使い方が下手な人とか、表現が下手な人に、私も小説やエッセイを読んでみることをすすめています。

言葉には背景があります。

海は「うみ」でなく、「広くて青くて深くて、あたたかくて、冷たくて、怖くて、ザブーンと波が大きくて、塩からい」――五巻の表現が必要です。

夕焼けは「オレンジ」ではなくて、「あー、きれいだね、海が真っ赤にそまったよ、太陽が海に沈んでいくよ……。オレンジ色に海が輝いて、まずしいね」というイメージをもつこと、そして、それを言葉に出して表現することをしてみてほしいのです。

相手に「言葉」を「映像」で伝えることができる人は、そうでない人よりも明らかにボキャブラリーが多いのです。

いま目の前の夕焼けを、どうすれば、それを見ていない相手に伝えられるのか――自分の見たこと、感じたこと、思いを伝えるには、やはり、それを表現する言葉を知ること、そして、それを口に出してみることが大切です。

だから、情景描写や心理描写の多い小説を読んだほうがいいと私は思うのです。

余談ですが、男性は女性作家のエッセイや小説を、女性は男性作家のそれを、読んでみるのも面白いと思います。

この間、ある女性作家さんが、「私の本って女性読者がほとんどよ」っておっしゃいました。

わたしが「そうなの?」と聞くと、

「そうよ、だって男の人で林真理子さんのエッセイ読んでいる人って知ってる?」

「ああ、周りにはいないかも……いるんだろうけど知らない」

「でしょ? 男性は極端に女性物を読まないのよね」

ルンルンを買っておうちに帰ろう (角川文庫 (6272))

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広辞苑 第六版 (普通版)

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