第726冊目 誰も教えてくれない男の礼儀作法 小笠原敬承斎/著
- 作者: 小笠原敬承斎
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/10/15
- メディア: 新書
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目次
序章 なぜ「武士の礼法」が成立したのか
第1章 男のこころ
第2章 男の姿勢
第3章 男の席
第4章 男の食作法
第5章 男のことば遺い
第6章 男のつき合い
第7章 男の格好
「毎日の挨拶のことば」を丁寧にしてみる
毎日使う挨拶は、どうしてもお座なりになりである。たとえば、自宅を出るとき、どれだけの人が丁寧にこころを込めて、「行ってきます」「行ってらっしゃい」などと家族に向かって挨拶をしているだろうか。
あるいは、朝の満員電車に揺られた後に会社へ到着し、他の社員やスタッフの人々と交わす挨拶を、小さな声で力なく「おはようございます」といってしまうことがあるかもしれない。
目覚めてから家族と対面するさいの「おはようございます」にも共通するが、相手の挨拶がすがすがしい印象だと、こちらの気分もよいものだ。ならば、相手の丁寧な挨拶を待つのではなく、自ら活気ある挨拶をするべきではないだろうか。
さて、私は幼い頃に、毎日行う挨拶こそ丁寧に行うことが、相手を敬う立ち振る舞いにつながり、それは家族に対しても忘れてはならない、と厳しく躾けられた。「親しき仲にも礼儀あり」は、毎日の挨拶には欠かせないということなのだろう。
先代が存命中は、先代が道場へ到着する否や、玄関へ迎えることはもちろんのこと、先代が部屋に入った後、しばらくして落ち着いた頃を見計らって改めて部屋の前に座る。さらに「失礼いたします」と声をかけてから襖を開け、扇子を前に置き、「ごきげんよう」と挨拶を行うことから一日が始まってのだが、それはただ単に上辺だけの決まりごとではなかった。
こちらは明るく笑顔で挨拶をしているつもりでも、「何か心配ごとがあるのでは」と先代から尋ねられたことは何度もあった。おそらく私の声の表情から、心身の状態を察してくれていたのであろう。その応対から、毎日行う挨拶だからこそ、いい加減に行うのではなく、大切にするべきであると、身を以って学ぶことができたように思う。
あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪
今日の声に出したい言葉
「楽しみに金のかからない人が最も裕福である」――ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
編集後記
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