第741冊目 組織を強くする技術の伝え方 畑村洋太郎/著
- 作者: 畑村洋太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/12/19
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目次
序章 「技術」とは何か
第1章 なぜ伝えることが必要か
第2章 伝えることの誤解
第3章 伝えるために大切なこと
第4章 伝える前に知っておくべきこと
第5章 効果的な伝え方・伝わり方
第6章 的確に伝える具体的手法
第7章 一度に伝える「共有知」
終章 技術の伝達と個人の成長
「技術を伝える」を巡るおまけの章
先輩・師匠にかわいがられろ
効率よく技術を獲得するために個人ができることとしては、「良き師匠や先輩を持つ」というのもあります。これは一般の技術の伝達の現場では、あまり意識されていないようです。しかし、たとえば伝統技術の伝達の現場では、どんな師匠や先輩につくかで、獲得できる技術のレベルが決まってしまうほど重要なものです。
技術を獲得するとき、まず全体像を見ておくとその後の知識の吸収が楽になります。とはいえ、まったく知識のない人がはじめて見る技術の全体像をつかむのはたいへんあことです。これを初心者が独力で行うことはほとんど不可能でしょうが、師匠や先輩の手助けを受けることができれば、初心者でも全体像を見る体験をすることは可能です。
こういうとき、離れた場所で注意深く見守っていながらも本人の自由にやらせてくれるのが良き師匠や先輩の特徴です。好き勝手にやらせているように見えて、致命的な失敗を起こさないようにしっかり見ているのです。一方、ダメな師匠や先輩は自分の考えややり方を直接的に後輩に伝えようとして最初から後輩の行動をやたらと制約しようとします。そのため後輩は経験できることが少なくなり、獲得できる技術の幅も狭くなります。
先述したように、私は技術の伝達のあり方を勉強するために、伊勢神宮の宮大工やたたら製鉄の技術者などの伝統技術を扱っている人たちに直接会って、いろいろと話を聞かせてもらいました。このときのお世話になってのが一九九三年の伊勢神宮の遷宮で総棟梁を務めた宮間熊男さんと、たたら製鉄の総責任者役である村下の木原明さんです。
二人はいまでこそ技術を伝達する師匠の立場ですが、かつてはそのまた師匠から教えを受けてきたわけです。その二人が弟子のあるべき態度として、まったく同じ事を話していたのが非常に印象的でした。
二人のポイントを整理すると、先輩に教えを請う態度としては、我を通すようなことは決してせず、なによりも示されている手本を真似る努力を愚直に行うのが一番ということになります。それでいて面倒なことを自分から買って出るくらいのやる気を見せて、「あいつは見込みがある」というふうに先輩に思わせることも大事だということです。
このように一生懸命努力している後輩は、やっていることが多少危なっかしくても先輩からは好ましく見えます。その後輩が真剣に質問をしてくれば先輩は自ずと真剣に答えるようになるし、壁にぶつかっていればさりげなくアドバイスをして手助けしてくれるようになるというわけです。
あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪
今日の声に出したい言葉
「艱難にまさる教育なし」――ベンジャミン・ディズレーリ
編集後記
昨日、6月26日の中国語検定対策に「キクタン」を購入しました。
本家(英語)の「キクタン」は知らないのですが、中国語の「キクタン」は軽快なBGMにあわせて「中国語→日本語→中国語」がテンポよく流れてまして、楽しく勉強できます。
最近の語学教材は本当に進化していますね。
三日坊主の私でも、継続できそうです。
- 作者: 関西大学中国語教材研究会
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