第716冊目 新ハーバード流交渉術 感情をポジティブに活用する ロジャー・フィッシャー/著 ダニエル・シャピロ/著 印南一路/訳

新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか

新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか

目次


1 感情と交渉(感情はパワフルで、つねに存在し、扱いが難しい
感情ではなく欲求の問題を解決しよう)
2 率先して行動しよう(価値理解を表現しよう
つながりを築き、敵を仲間に変えよう
自律性を尊重しよう
ステータスの重要性を認めよう
満足できる役割と活動内容を選ぼう)
3 追加の実践的なアドバイス(強いネガティブな感情に対処しよう
準備の重要性
イデアを実世界で使う)
4 結論


だれにでも礼儀正しくしよう


私たちが他人のステータスについて考える時には、まず社会的ステータスに焦点を当てることが多い。もし、相手がVIPであるならば、ほぼ自動的にその人に礼儀正しく接するだろう。そして、ポジティブな感情の利点を最大限に活かすというなら、相手の社会的ステータスにかかわらず、すべての交渉担当者に礼儀正しく接する方がよい。どんな交渉担当者でも、「尊敬に値する人間」という高いステータスを持っているからである。


ちょっと礼儀正しくするだけで、物事がうまくいくことがある。ダンがフォーチュン500企業のコンサルタントをしている時、ある組織のCEOの事務補佐を務めている女性が二、三人の従業員に冷たくあしらわれていたことを知った。一部の従業員は彼女を無視し、ほとんど敬意を示さず、仕事関連のホームパーティーにも彼女を招待しなかった。事務補佐の仕事を数年するうちに、彼女はそのCEOと結婚した。すると突然、皆が彼女の家のパーティーに集まるようになった。今では彼女はその組織の決定権を握る人物ともっとも近しい関係になったのだから、だれもが彼女の「親友」になりたいと思うようになったのである。しかし、当然のことながら、彼女は以前からずっと彼女に敬意を表していた従業員を厚遇した。


礼儀正しくするには、「お願いします」とか「ありがとう」と言うだけでは十分ではない。自分が接している相手を心から尊敬することが必要である。そのCEOの事務補佐がダンに言うには、今では彼女を利用しようとしているかを簡単に見分けることができるそうである。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


今日の声に出したい言葉


「抑えて当たり前になったときに野球が仕事に変わった」――岩瀬仁紀


 

編集後記



新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか

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