第283冊目 プロアナウンサーに学ぶ話す技術 /梅津正樹/著

プロアナウンサーに学ぶ話す技術

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「ら抜き」を防ぐためには、早稲田大学飯間浩明先生が提唱する方法が、わかりやすいと思いますので、紹介します。
それは、動詞に「〜よう」を付けてみる方法です。
「見る」は、「見よう」と「よう」がつきます。その場合は、「ら抜き」をしてはいけません。ところが「走る」は、「走ろう」といい、「走よう」とはならないので、「ら」はつかずに、「走れる」でよいのです。

それでは、次の言葉はどうなるでしょう。「着る」と「切る」を考えてください。「着る」は、「着よう」というので、「着られる」となります。「切る」は、「切ろう」とはいいますが、「切よう」とはいいませんので、「切れる」ということになります。

私の大先輩のアナウンサーの逸話があります。その人は、結婚披露宴の席で司会から紹介され、マイクの前に立ちました。そして、黙ったままじっと、新婦を見つめました。出席者は、さあこれからどんな話が聞けるのか、静かに待ちました。ところが、待てども待てども一向に声が聞こえません。どうしたのだろう。もしかしたら、話を忘れてしまったのだろうか、感激のあまり、胸が詰まって言葉が出ないのだろうか、とやや心配しはじめたそのときです。突然大きな声でゆっくりとこう言ったのです。
「おめでとう」
そして深深と一礼して自席に着きました。スピーチはそれだけでした。余計なこと何も言わずに、自分の、新婦に対する万感を、たったとひと言に込めたのだろうと思います。

魅力的な低音の声の男性の中には、意識的にその低音を響かせようと、常に低い声で話をする人がいます。一瞬、いい声だと思われても、長く聞いていると疲れてしまうことがあります。その逆に、美しく高い声も、聞き続けていると、単調になり、飽きてしまいます。

状況に応じて、自分の出せる範囲内で、声の高低をほどよく使い分けられるといいでしょう。

1 なんのために話すのか(聞き手中心の話し方
相手をいい気分にさせる
基本はあいさつ ほか)
2 言葉づかいを磨く(敬語はなくならない
敬語のレッスン
気になる敬語の使い方 ほか)
3 魅力ある話し手になる(話のT・P・O(時・場所・場合)
上手な自己紹介とあいさつ
他人に注意する ほか)

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