第229冊目 影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか 著者/訳者名 ロバート・B.チャルディーニ/著 社会行動研究会/訳

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

返報性のルールの力はとても強いので、見知らぬ人や嫌いな人、それに歓迎しかねる人でも、最初にその人から、親切な行為をされてしまうと、一つぐらいならその人の要求に応じてもいいという気になりがちである。

アメリカ退役心障害軍人協会の報告によると、寄付を要請する普通の郵便の場合、応じてくれる人の割合は18%だそうです。しかし、頼まれてもいないちょっとしてギフト(個人の住所ラベル)を同封して郵送すると、成功率は2倍の35%にもなるのです。

自分が頼んで何かをしてもらった場合にはそれほど恩義を感じないかもしれない、ということを言いたいのではありません。自分から頼むということ自体が私たちに恩義の感情を生じさせるのではない、という点が重要なのです。

ジョーはあるグループの被験者に対して、最初にコーラを1本あげておいて、その後で1枚25セントのくじつきチケットを何枚か買って欲しいと頼みました。今までは触れていませんでしたか、この実験が行われたのは1969年代ですから、当時のコーラの値段は10セントです。この10セントの飲み物を買った被験者が、平均して2枚のチケットを買ったのです。なかには、なんと7枚も買った人もいました。自分の投資に5倍の見返りというのは、本当にたいしたものです!

「ふとした隙につけこまれ、あれよあれよという間に欲しくもないものを買わされてしまった」「ひっかかるはずのない怪しい〈儲け話〉に乗せられてしまった」「人気商品なのに品薄なことが多い……」などなど。本書の著者は、街頭や個別の訪問販売、怪しげな宗教の寄付などで苦い思いを味わった経験から、セールスマンや広告主の世界に入り込み、人がどのような心理的カニズムで動かされるのか解明した。第二版では、世界各地の読者から寄せられたレポートを追加し、より身近に詳しく「影響力の武器」を描き出す。消費者心理のからくりをユーモラスに描いた本書は 、消費者にとっても必読の一冊である。

勧誘などでだまされた経験から、著者がビジネスの世界に潜り込み、消費者心理の罠や凄腕セールスマンの技術をユーモラスに描きだす。

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか