第230冊目 プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか 著者/訳者名 P.F.ドラッカー/著 上田惇生/編訳

私は、成果をあげる人間のタイプなどというものは存在しないことをかなり前に気づいた。

成果をあげることは一つの習慣である。習慣的な能力の集積である。そして習慣的な能力は、常に習得に努めることが必要である。習慣的な能力は単純である。あきれるほどに単純である。七歳の子どもでも理解できる。かけ算の九九を習ったときのように、練習による習得が必要となるだけである。「六、六、三六」が、なにも考えずに言える条件反射として身につかなければならない。習慣になるまで、嫌になるほど反復しなければならない。

どんな分野でも、普通の人であれば、並の能力は身につけられる。卓越することはできないかもしれない。卓越するには、特別の才能が必要だからである。だが、成果をあげるためには、成果をあげるための並の能力で十分である。音階が弾ければよい。

私は新しい仕事を始めるたびに、「新しい仕事で成果をあげるためには何をしなければならないか」を自問している。

新しい任務で成功するうえで必要なことは、卓越した知識や卓越した才能ではない。それは、新しい任務が要求するせの、新しい挑戦、仕事、課題において重要なことに集中することである。

「自らの強みが何か」を知ること、「それらの強みをいかにしてさらに強化するか」を知ること、そして「自分には何ができないか」を知ることこそ、継続学習の要である。

誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思っている。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かをおこなうことはできない。できないことによって何かをおこなうなど、とうていできない。
つまるところ、優先すべきは価値観である。

はじめに
 
Part1 いま世界に何が起こっているか
 
 第1章 ポスト資本主義社会への転換
 第2章 新しい社会の主役は誰か
 
Part2 働くことの意味が変わった
 
 第1章 生産性をいかにして高めるか
 第2章 なぜ成果があがらないのか
 第3章 貢献を重視する
 
Part3 自らをマネジメントする
 
 第1章 私の人生を変えた七つの経験
 第2章 自らの強みを知る
 第3章 時間を管理する
 第4章 もっとも重要なことに集中せよ
 
Part4  意思決定のための基礎知識
 
 第1章 意思決定の秘訣
 第2章 優れたコミュニケーションとは何か
 第3章 情報と組織
 第4章 仕事としてのリーダーシップ
 第5章 人の強みを生かす
 第6章 イノベーションの原理と方法
 
Part5 自己実現への挑戦
 
 第1章 人生をマネジメントする
 第2章“教育ある人間”が社会をつくる
 第3章 何によって憶えられたいか
 
付章 eコマースが意味するもの―IT革命の先に何があるか
 
編訳者あとがき
 
ピーター・F・ドラッカー著作目録