第3983冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

ストレスとうまく付き合い、感情コントロールができる人

 

ストレスやプレッシャーとうまく付き合い、常によい心の状態で働く力、いわゆる、ストレス・マネジメント・スキルは、福祉の職場で働くすべての人が習得すべき重要なスキルの一つである。

 

このスキルが不十分であると、冷静な判断ができなくなり、精神的に追い込まれやすくなる。感情コントロールがうまくできなくなり、自身の持ち味を十分に発揮できなくなる。結果的に極めて低いパフォーマンスに終わるという状況に追い込まれる。

 

こうした状況の防止に向けて、管理監督者レベルのリーダー職員がイニシアチブをとり、職員が働きやすい組織環境の醸成に全力を尽くす。悩みや困り事について気軽に相談できる体制を整備する。ワーク・ライフ・バランスの充実に向けた勤務体制を整備する。職員が相互に協力し合える組織環境づくりに努めていく。

 

同時に、職場全体でストレス・マネジメントの基本的考え方とスキルの習得に向けた研修会、あるいは勉強会を開催する。新任職員のプログラムに、ストレス・マネジメント・スキルの基本が学べる機会を提供する。常に最善のパフォーマンスが披露できる職業人となるためのポイントを学べるようにする。

 

 

他者からの耳が痛い指摘、批判の声、注意に対して、冷静かつ謙虚に向き合る人

 

ともに働く仲間からの意見や指摘は、よき職業人を目指す人にとっては、大きな宝物となる。自分が見落としていた部分を気づかせてくれる機会を提供しくれるからだ。

 

もちろん、他者からの指摘には“耳が痛い”ものも含まれる。例えば、利用者への直接介護に携わる自分自身の言動が、「利用者の尊厳を大切にしていない」「利用者のプライドを傷つける接し方となっている」といった指摘がさなれることがある。

 

また、意図的ではないのだが、無意識のうちに苦手意識を感じる業務・利用者から逃げていたという点を、他者のストレートに指摘されるケースもある。

 

たとえつらくとも、福祉の職場でプロとして働く人は、他者からの“耳が痛い”指摘から逃げてはならない。その指摘に対して、冷静かつ謙虚に向き合う姿勢を身につけなければならない。他者からの指摘を的を得ているケースが多い。権利侵害へと発展しかねない行為を、未然に指摘してくれるアドバイスとなるからだ。

 

では、どうすれば、“耳が痛い”指摘に冷静かつ謙虚に向き合える職員が育成できるのだろうか。最も有効な方法は、リーダーがよき手本を見せることだ。日常の業務場面で、人の意見に真摯かつ姿勢ある態度で耳を傾ける姿勢を示す。的を得ている指摘の場合は、すぐさま改善を図る。そんな姿勢を率先垂範して示すことが、部下・後輩にとっては一番のよきモデルになる。“耳が痛い”指摘に冷静に向き合う職員を育てる基盤になる。