第3982冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

-チームワークに貢献できる人

 

チームワークとは、二人以上の小集団が、強い帰属意識を共有しながら力を合わせ、共通の目標達成に向けて行動を起こし成果を生み出す、という意味である。

 

チームワークに貢献できる人になるためには、まず全メンバーがチームに対する強固な帰属意識をもつことが必要になる。続いて、チームが掲げる目標の確認が求められる。そのうえで、達成に向けた具体的な行動計画(アクションプラン)を立案する作業に取りかかる。計画には、達成に向けて一人ひとりのチームメンバーが何をするのか、役割分担も明確にする。達成に向けた行動を起こした後には、進捗状況を確認する。このような一連の取り組みを通して、皆で協力して目標の達成を成し遂げたとう果実が共有できるようにする。

 

自分の意見を会議の場で表明できる人

 

自分の考えを整理して、チームの仲間が理解できるように伝える。会議の場で、自分の考えを明確に示す。これはすべての職員が果たすべき重要な使命の一つである。

 

残念ながら、福祉職場のなかには、この重要な役割を十分に果たせていない人が少なくない。利用者の生活の質を左右する重要なキーパーソンであるはずなのに、会議中、自分の意見を表明しない。そういう状況にある人を数多く見かける。この点について、福祉職員と話をすると、「意見を言うのは苦手」「反論や否定が恐くて発言できない」といった見解を耳にするケースが多い。

 

もしあなたの職場に、「苦手だから意見が言えない」というう部下・後輩がいるとすれば、リーダーとして、彼らの明言しなければならない。苦手意識は、行動を起こして、自分のなかから振り払っていく。そんな積極果敢な姿勢が求められる。

 

反論されたり否定されたりするのが恐くて発言できない状況に陥っている人には、どうアドバイスするか。この場合も、まず、リーダー職員が伝えなければならないのは、介護の意味である。そもそも会議とは、さまざまな意見を出し合う場である。異なる意見が出ることに意義があるのだから、提案や意見に対して、反論や否定をするような意見が出るのは、ごく自然なことである。会議がしっかりと機能している事実を物語っている。この点をリーダー職員は部下・後輩にしっかりと伝えなければならない。

 

とはいえ、職業人としての経験が浅い段階で、自分の意見が真っ向から反対されるという経験をすると、立ち直れなくなるのも事実だ。このケースの場合、リーダー職員にぜひ試してほしいのが次に二点だ。

 

一つは、何らかの会議の場で、尻込みしている職員に発言する機会を提供する。しかし、その場で突然指名されると、戸惑ってしまうので、事前に、「次回の会議の場で、〇〇さんへの支援の方法についてあなたの意見を聞かせてください」とお願いする。その際に、「事前に、メモでもいいから、あなたの考えを見せてもらえます」と付け加えておく。後日、発言の下書きメモを見せてもらう際には、どうすれば、わかりやすい発言になるか、アドバイスする。こうすれば、本人にとっては、落ち着いて意見が言いやすくなる。

 

会議の場を迎え、当該職員が無事発言をした場合には、リーダーはサポート役に回り、ポジティブな発言でフォローする。こうすれば、「発言してよかった」という印象をもってもらえる。こうしたサポートを積み重ねることで、自分の意見が示せる人になれるよう導いていく。

 

リーダー職員にぜひ取り組んでほしいのはもう一つのチャレンジは、意見が言いやすい会議の場の設定だ。例えば、利用者への支援方法を検討するケース会議の場では、「何か意見はありますか」と参加者に問いかけるだけでは意見が出にくいため、その場合は、意見の引き出し方法を一工夫する。おすすめなのは、7センチ×7センチサイズの付箋紙を活用した方法だ。参加者に付箋紙を各々5枚ずつ配布して、こう伝える。「それでは、5分で、〇〇さんに今後どういう支援をしていけばいいと思うか、付箋紙に書き出してください」。

 

5分後には、参加者が書き出した付箋紙を、会議テーブルの上や壁に張り出しながら発表してもらう。1枚1枚順番に付箋紙を読みあげるという形で発表してもらうので、意見表明が楽にできるようになる。皆が付箋紙を通して意見を出しているので、会議に主体的に参加しているという意識も高まる。