第3964冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

-リーダーとしての行動を自己チェック

 

善は急げだ。現状を正しく理解するための行動をチェックしよう。リーダーとして働くあなたの目がどれくらい現場に行き届いているといえるのか、自己チェックにチャレンジしよう。

 

方法は簡単だ。私が独自に作成した現場へのも配り充実度チェックリストに目を通し、自信をもって「はい」と答えられる項目には〇を入れる。自信をもって「はい」といえない場合は✕を入れる。「どっちかな」と少しでも迷った項目は✕と、厳しい視点でチェックする。

 

✕がついた項目については、優先順位をつけ、順番に〇になるよう行動を起こす。

 

例えば、「現場にはどのような強みがあるか、理解している」が✕の場合は、現場を訪ね、強み探しに従事する。「どこが強みといえる部分か」「どこがすごいといえる部分か」「どこが素晴らしいといえる部分か」と呟きながら、現場を歩き回るだけでもよい。強い意識をもって見回ると、今まで気づかなかった強みに気づける可能性は決して低くない。

 

強み探しの手段としては、現場職員とのコミュニケーションもおすすめだ。効果的なのは、日常業務の手段や方法をあらためて教えてもらうという方法だ。「この業務はこのように行っています」「こういった手段や方法で介護業務を行っています」などといった、何気ない説明のなかに、強みが潜んでいるケースがある。強みはその部署にずっといるからといって、理解しているとは限らない。気づいてないケースが少なくない。これらのアプローチを通して、確認できた強みは、今後も保持できるよう、あるいは、さらなるバージョンアップを図るよう現場に働きかけていく。

 

「現場にどのような課題、問題、改善すべき点、ウィークポイントがあるか、理解している」が✕の場合も、現場を訪ね、課題、問題、改善すべき点の把握に向けた取り組みにかかる。

 

確認できた場合は、解決案を作成し、改善に向けた行動に着手する。もちろん、これら一連の取り組みを単独で実施する必要はない。現場職員と協働作業で取り組めばよい。職員の視点からすれば、上司・先輩と、業務改善に一致協力して取り組んだという経験が、「仲間意識」の醸成につながる。支え合う人間関係構築の土台となる。

 

〇がついた項目も、その内容によっては、行動を起こす必要がある場合があるので、要注意だ。

 

例えば、「日常業務がどのような共通認識に基づいて実施されているのか理解している」に〇がつくケース。この設問で〇がつくケースは二つある。

 

一つ目は、「共通認識がしっかりとある」ケース。しかも、その結果、レベルが高い業務がこなせているケース。

 

二つ目は、「共通認識はしっかりある」が、業務レベルは不十分な状態にあるケース。この場合は、共通認識になっている業務の手順や方法に大きな問題があるという事実を意味しているので、可及的速やかに業務手順の見直し、修正に取りかかることが必要になる。