第3965冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

-定期的に現場に顔を出す

 

もしあなたが管理監督者であり、直接支援・介護に携わる職員とは離れるところで仕事をする立場であれば、可能な限り、現場を訪ねる時間を作るよう努力する。事業所によっては、他の部門が同じ建物にない場合もある。その場合、可能な限り訪ねる努力を怠らないようにして、情報共有、意思疎通に努めなければならない。

 

定期的に訪ね、自分の目でその空間に入ることによって、何が起こっているか、つかみやすくなる。ただし、問題はどれくらい頻繁に顔を出すか、ではない。漫然と回数を増やすだけでは、現場のリアリティーは把握できない。大切なのは、顔を出すときにはいつも謙虚に「現場に学ぶ」という姿勢をもって訪ねることあ。現場を支える。利用者を支える。そして、職員を全力で支える。その姿勢が伝わるような訪ね方をすることが重要である。

 

利用者と馴染みの関係を作る

 

現場に顔を出す際に心がけなければならないのは、利用者とのふれあいだ。また、コミュニケーションの機会を可能な限り数多くもつことである。利用者とのふれあう機会をもつと、どのような思いでサービスを利用しているか、どのようなことに満足しているか、どのようなことを不安に思っているか、一人ひとりが抱いている心情がより的確に理解できるようになる。

 

利用者一人ひとりの思いに根ざした組織運営を考えることにもつながるし、職員へのアドバイスにもつながる。利用者と馴染みの関係をもっている上司の声は職員の心にも届きやすくなる。利用者を大切にしている姿を目の当たりにしているので、自分たちとは異なる世界に住み、現場のことがわからずに、組織運営に当たっているという誤解を生みだす恐れがなくなる。職階や立場は異なっていたとしても、現場を共有するいい意味での「仲間意識」が醸成しやすくなる。