第3921冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

-組織風土

 

一人ひとりに個性があるように、人間が集まった職場にも独自の雰囲気があります。その雰囲気は、メンバーが長くいると定着する傾向があり、その雰囲気を「組織風土」といいます。組織風土は職場を構成する人たち自身で作りあげているものであると同時に、人々の日常行動を支配しているものでもあります。別の見方をすると、スタッフが「何を大切に思っているのか」「職場や上司に対してどういう感情をもっているのか」といったスタッフのホンネが組織風土ともいえます。

 

人間の行動は、その人の性格や意欲、価値観といった要因だけでなく、置かれた環境によっても変わるといわれます。社会心理学者のR・リッカートはよい環境をつくり出す原則として7つ挙げ、リーダーは①~⑦をマネジメントすることによって、よい組織風土をつくり出すことができます。つまり、広い視野で人材育成を考えるときに、よりよい組織風土をいかに形成するかがリーダーの重要な役割であると考えられます。互いに協力し合いながら、学び合い教え合う場をつくることによって、職場を活性化することができます。

 

仕事を教える場面では、基本的に「教える人」と「教わる人」の1対1の関係になります。指導の担当を決めて責任を明らかにすることは大切です。しかし、指導役に任せきりになると、ほかのスタッフは関心をもたなくなり、指導役が休みのときに新人はどうしていいのかわからなくなることもあります。また、指導役がすべてのことに精通していない場合もあり、新人が業務全体を十分に習得できないこともあり得ます。

 

こうしたことを防ぐためには、指導役を支える仕組みづくりが必要です。指導役が不在のときはリーダーが代わる。サブの指導役を設定しておく、文章作成が得意なスタッフが文書チェックを行う、PCが得意な職員は寄り添って教えるなど、「点」ではなく「面」で新人を指導していく仕組みです。

 

新人にとって、誰からも教えてもらえない、誰からも声をかけてもたらない状況は辛いものです。多くのスタッフから気にかけてもらい、ほめられたり、場合によってはしかってもらう……。そのようなことで、新人は自分に関心をもってもらっていると感じます。これは大変重要なことで特にチームで仕事をする介護現場では重要な要素になります。