第3857冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

 

-福祉の実践現場では、不適切事例・権利侵害事例に十分な対応がなされず放置されていることがある。

 

高齢者福祉や障害者福祉の領域では絶対に起こりえない、特殊事案を架空事例として作ったもの、といいたいところであるが、実は違う。現場と関わりをもつと、ごく頻繁に見聞きする事例をベースに作成している。

 

読者のなかにも、「あー、うちにもこんなことがある」という思いが脳裏をかすめ、ドキッとした人がいるに違いない。だからこそ、あえて、こんな問いを本書を手にするすべての人に投げかけたい。

 

「あなたの職場では、不適切な行為を行った職員に対して、二度と同じことを繰り返さぬよう、適切な対応が取れているだろうか」

 

「もしこれまでのキャリアのなかで、不適切な行為に手を染めた部下・後輩がいた経験がある人であれば、そのとき、あなたは当該職員に対して、毅然たる態度で向き合っただろうか。二度と同じような誤った接し方をしないよう適切な指導ができただろうか。その結果、二度と同じような行為を示さなくなったという成果をあげることができたであろうか」

 

もし、十分な対応ができていない状況にあるのならば、すぐに行動を起こさなければならない。

 

注意すべきときに、正しく適切な手順や方法で注意する。叱るべきときに、正しく適切な手順や方法で叱る。そのスキルを身につけなければならない。放置すれば、悪しき行動、あるいは、不適切な行動は悪化の一途をたどるようになる。取り返しがつかないレベルまで進んでしまう。恐いのは、悪しき接遇スタイルは極めて“伝染性”が高いという点。管理監督者、部長、課長、主任などの立場にある職員が気づいたときには、多くの職員が同じような誤った対応をするようになっていたという例は枚挙に暇がない。

 

そうなれば、改善は至難の業。困難を極める状況になる。だからこそ、リーダーのポジションにある職員は、その状況に至る前の速やかな行動が求められるのである。