第3673冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田則夫(著)

 

 

 

 

 

業務のレベルアップや見直しを訴えると、必ずといっていいほど、出くわすのが「できない理由探し」に走る人だ。得意なのは、「時間がない」「人が足りない」という言い訳。リーダー職員として長年の経験がある人も、部下が発するこの言い訳には一瞬怯んでしまう。ギリギリの人員配置であることは事実だし、時間があり余っているわけでもない。

 

 

が、「時間がない」「人が足りない」から無理な注文は出せないと白旗を掲げて退散するのが、リーダー職員としてとるべき選択であろうか。答えはノーだ。もし、改善しなければならない重要な案件があるのであれば、こうした声に安易に屈してはならない。

 

 

そもそも、限られた時間のなかで、業務を行うことが求められるのは福祉の業界だけではない。人員配置について基準をクリアしている状態であるなら、「人が足りない」という言葉に簡単に屈する必要はない。今や、どのような業種、業界もギリギリの人員配置のなかで業務遂行がなされている。しかし、他の業界では改善が必要な案件があるとき、ギリギリの人員配置で一杯一杯だから、何もしないで放置することなどあり得ない。福祉の業界でも、知恵を絞り、工夫をして、改善に向けた時間を確保する。そのうえで、最善の解決策や改善策を立案し、実行に移していくことが求められているのである。

 

 

では、いったい「できない理由探し」に陥っている職員にどのように向き合えばよいのだろうか。

 

 

心を動かすには、なぜ改善に取り組むのか、丁寧な説明が必須条件となる。重要なのは、〝なぜ〟という部分。部下が納得できるよう、わかりやすい言葉で丁寧に説明する。今、改善に向けて行動を起こさなければ、どのような事態が発生する可能性があるのか、説明をする。