第3698冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田則夫(著)

 

 

 

 

 

例えば、A職員の仕事ぶりを、常々「遅くて困る」というマイナスの視点でみていたとしよう。この見方の翻訳にとりかかる。「仕事にゆっくりじっくり丹念に取り組む」とプラスの視点を十分に盛り込んだ形で翻訳する。そのうえで、「なぜそんなに遅いのか」というマイナスの視点に基づく働きかけでなはなく、「着実に取り組む姿勢で、利用者に喜ばれている。その姿勢を維持できるように、焦らせるような態度は示さない」といったポジティブなアプローチが示せるようになる。

 

 

続いて、B職員のケース。A職員とは正反対で「いつも忙しそうに動き回り、落ち着きがない」という見方がされていた。この場合は、プラスの視点でこう翻訳する。「非常に責任感が強く、少しでも多くの業務を行おうと頑張るタイプ」。そのうえでアプローチをこう変更する。「業務量を他の職員と同じ量まで減らす」「業務の打ち合わせのとき、どの業務をどのくらいの時間でやるか、おおよその目安を示し、業務をこなせるようにする」。こうしたアプローチでB職員に対応すれば、抵抗感なくアドバイスを受け止めてくれるであろう。