第3586冊目「権力」を握る人の法 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

このように、評判形成の第一歩となる第一印象は一瞬で決まってしまうだけでなく、後々まで維持される。研究者によると、第一印象が長続きする現象、言い換えれば、先に提示された情報が優先される現象は、四つのプロセスで説明できるという。どれも、なるほどと思い当たるものばかりである。

 

 

第一は、時間の経過とももに注意力が低下することである。多くの人は、最初に受けた印象を下した後は気が緩んでしまい、後から受ける印象に前ほど注意を払わなくなる。たぶんあなたも初対面の人と会うときには、相手の言動に注意を払い、どういう人間かを探ろうとし、相手のタイプを知り、さらに自分と合いそうか、自分に好意的か、はたまた自分の役に立ちそうか見きわめようとするだろう。やがて「だいたいわかった」と考えると、いちいち気にかけなくなる。次に会うときには、相手のことはおおむねわかった気でいるので、こまかいニュアンスなどを聞き流しやすい。

 

 

第二は、情報の選択的取捨である。すなわち、第一印象が定まってしまうと、それと一致しない情報を無視しがちになる。とりわけ、「第一印象→相手の評価→結果」が連続的に起きる場合に、そうなりやすい。たとえば面接の際に相手の印象に基づいて採用を決め、その後になってから「こいつを採用したのは失敗だった」と認めるのあh、誰しも気が進まない。そこで、第一印象と一致しない情報は無視して、一致しる情報のみを偏重する傾向が生まれる。