第3496冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

会話や交渉やプレゼンテーションの最中には、相手が唇をすぼめる表情に注目しよう。このノンバーバルは意見の不一致や別の考えを示す大きな手がかりだから、それに対して先に進むことができる。嫌いなものを口に入れないという辺縁系の命令が手伝って(ブロッコリーが嫌いな子に無理やり食べさせようとすると、口をすぼめて抵抗する様子を思い浮かべてほしい)、この行動は大人になっても消えることがなく、会議で発表された意見に対して反対しているときなどによく姿を現す。

 

 

唇をなめる、唇に触る、爪を噛む、唇を吸う、ペンのキャップや鉛筆の先をしゃぶる、ガムを噛むなどは、どれもストレスを和らげようとするなだめ行動だ。唇や舌を使うこれらの動作は、神経が細かくはりめぐらされた口の周辺をマッサージする効果があり、赤ちゃんに見られる吸いつき反射の大人版と考えることができる。この反射は栄養をもたらして体を育てるとともに、心を静める脳内物質の分泌を促して、感情を育む役割も果たしている。吸う動作はそれほど生まれつきのものなので、人は母親の胎内にいるときからもう始めている。写真家トナート・ニルソンが撮った、親指を吸う胎児の有名な写真を見たことがあるだろう。

 

 

緊張して口が渇いたときに唇を湿らせるのは自然だが、唇をなめる動作(なだめ動作)がすぎると、まわりから過度の緊張が見えてしまい、ビジネスの世界では信頼を得られなくなる。爪を噛んだり吸ったりするしぐさは、特に不安と結びつく。もしもクセになっている人がいれば、プロとしてのイメージを大いに損なうから、なんとやめるよう努力する必要がある。