第3528冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

研究者のポール・エクマン博士とその同僚は、人が悲しみなどのマイナスの感情を表す表情を作ると、脳がその表情を内面化して、気分が変化することを発見した。こうして私たちの気持ちはいつも流動的だが、それは自分の笑顔やしかめ面を結びつき、ひいいては私たちの暮らしにかかわる人々や状況の感情の流れにつながる。私たちは自分の感情を否定してはならない。それは私たちの体の反応と同じように、自分自身という存在に根ざしたものだ。

 

 

それでも――自分の、またまわりの人々の――感情の思うままに動くのでは、大脳辺縁系に運転を任せっぱなしにしすぎだろう。私たちが求めるべきは、感じる能力と判断する能力という、人間性の二本の柱が力を合わせる生き方だ。ノンバーバルはそのなかで私たちを導き、感情を表現するとともに判断しながら、さもなければ私たちを制圧してしまいそうな大脳辺縁系の反応を、減じる役割も果たしている。辺縁系の反応を引き起こす不測の出来事に対処するやりかたを決め、そのレパートリーを取り揃えれば、困難にも前向きに取り組む準備が整う。私は元FBIのSWAT指揮官として、またビジネスに携わる者として、こう断言できる――私や、ほかのたくさんの成功を収めた人々が、強い感情にも恐ろしい出来事にさえも勇気をもって立ち向かうことができたのは、こうしたノンバーバルの道具のおかげだったと。

 

 

消防隊員が毎日の仕事を成し遂げられるのも、二〇〇九年一月にサレンバーガー機長がエンジンの動かない飛行機を安全にハドソン川に不時着させることができたのも、こうした方法によるものだった。彼らは理性とノンバーバルの両面で自分自身をしっかりコントロールすることによって、感情を高ぶらせる出来事に立ち向かう訓練と練習を重ねているから、まわりの人々は、彼らに安全を見出すことができる。私たちが恐怖にうち勝って行動を起こすとき、英雄と呼ばれるふさわしい結果を手にすることができる。