第3475冊目  FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-逃げる

 

 

固まっていても脅威が去らないようなら、次に逃げるという選択肢がある。平野に草をさむ草食動物の群れが、腹をすかせたチーターに襲われたときの目覚ましい反応は、ネイチャー番組でお馴染みだ。一〇〇頭もの群れが一斉に顔を上げたかと思うと(固まる)、その直後には走り出している。

 

 

現代の暮らしでは、不快だと感じる場面に遭遇したとき、いつも立ち去るというわけにはいかないが、いやまのものから自分自身を遠ざけようとする大脳辺縁系の働きを止めることはできない。次の章でわかるように私たちの「正直な」脚と足は、遠ざかりたいという望みを示すノンバーバルを見せてくれる。もう会話をやめたいと思う人の足先は、相手から直角に方向を向いている。証人を好きではないと感じた陪審員の脚の向きは、自然と出口のほうを指している。会議室では、自分の意にそぐわない発言をした人からそらすように回転いすを回してしまう。そして嫌いな人に会うと、なんとなく正面を向いて立つのを避け、足先を斜めの方向に向けてしまう。これらは私たちの大脳辺縁系が、不快なものから距離を置こうとしているせいだ。

 

 

同じように胴体も、反目を感じる人からは遠ざかるように反らすか、少し横を向ける。人はイライラする相手から体の前面をそむけ、ついに本当に険悪な仲になれば、背を背けることになる。あるいは相手とのあいだに壁を作って距離を置こうとすることもあり(突然ハンドバックを膝の上に置く、上着のボタンをはめる、車のドアをロックする、そっぽを向くなど)、それにはまぶたを下げる、手で顔を覆うなどの、目を守るしぐさも含まれている。これらは周囲の人から遠ざかる行動の現代版だ。