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第3501冊目 FBI捜査官が教える第一印象」の心理学
- 作者: ジョー・ナヴァロ,トニ・シアラ・ポインター,西田美緒子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/01/14
- メディア: 単行本
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-笑顔
笑顔は山をも動かし、善意のもとになるというのに、みんなこの単純なしぐさをしない。笑顔を作らない航空会社の社員に迎えられた経験は数えきれず、回数など覚えていられない。けれどもそれが私やまわりの人たちの気分をどれだけ損ねたかは、しっかり覚えている。完璧な世界があれば、そこでは全員が笑顔で挨拶しているはずだ。でも人生は生まれてから死ぬまでそのことを忘れていて、笑顔を見ると心を動かされ、考えや行動を左右される。人間という種は笑顔を糧に生きている――赤ちゃんや高齢の病人に笑顔を向け、効果を見てみるといい。笑顔はあらゆる年齢の人で「幸福ホルモン」とも呼ばれる脳内物質エンドルフィンの分泌を促し、安心感と元気のもとになる。
丸一日、笑顔の観察に費やしてみれば、たったひとつのこのノンバーバルの種類の多さに驚くにちがいない。通りで見知らぬ人と目が合えば、外交的笑顔が出る――唇と閉じたまま、口角をまっすぐ横に広げる表情だ。何度か会ったことがある人や少しだけ知っている人には、礼儀正しい笑顔になる――歯を少し見せ、口角をやや上に引き上げる。そして憧れの人、好きな人、愛する人には、本物の笑顔――歯がすっかり見え、唇が大きく孤を描くと同時に、頬と目の筋肉も参加して、目に豊かな表情が浮かぶ。しかしこれらのあいだには、実にさまざなま「微妙な笑顔」がある。ほんの一例をあげよう。
一瞬の、緊張した笑顔――「ちょっと、すいませーん」
少しゆがんだ、申し訳なさそうな笑顔――「そんなミス……しなければ良かったのですが……」
眉が上がった、問いかけるような笑顔――「いい考えだとは思いませんか?」
歯をむきだしにして顎に力が入った、作り笑い――「あの人がそんなことを言ったなんて、信じられない!」
笑顔を、人間の社会生活に不可欠な助け合いの絆を生むための強力な道具だと見なせば、自分でもっと効果的に利用することができるだろう。