第3089冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著),‎ トニ・シアラ・ポインター (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 笑顔


笑顔は山をも動かし、善意のもとになるというのに、みんなこの単純なしぐさをしない。笑顔を作らない航空者の社員に迎えられた経験は数しれず、回数など覚えていられない。けれどもそれが私やまわりの人たちの気分をどれだけ損ねたかは、しっかり覚えている。完璧な世界があれば、そこでは全員が笑顔で挨拶しているはずだ。でも人は生まれてから死ぬまでそのことを忘れていて、笑顔を見ると心を動かされ、考えや行動を左右される。人間という種は笑顔を糧に生きている――赤ちゃんや高齢の病人に笑顔を向け、その効果を見てみるといい。笑顔はあらゆる年齢の人で「幸福ホルモン」とも呼ばれる脳内物質エンドルフィンの分泌を促し、安心感と元気のもとになる。


丸一日、笑顔の観察に費やしてみれば、たったひとつのこのノンバーバルの種類の多さに驚くにちがいない。通りで見知らぬ人と目が合えば、外交的笑顔が出る――唇を閉じたまま、口角をまっすぐ横に広げる表情だ。何度か会ったことがある人や少しだけ知っている人には、礼儀正しい笑顔になる――歯を少しだけ見せ、口角をやや上に引き上げる。そして憧れの人、好きな人、愛する人には、本物の笑顔――歯がすっかり見え、唇が大きく孤を描くと同時に、頬と目の筋肉も参加して、目に豊かな表情が浮かぶ。しかしこれらのあいだには、実にさまざまな「微妙な笑顔」がある。