第3490冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-体に触れるという、難しい問題

 

 

私たちが手をどのように使って自分自身をなだめているか見てきたが、手を使えば、文字どおりまわりの人とつながり合うこともできる。研究によれば、体の触れ合いが健康にとってきわめて重要なことがわかっている。心拍数を減らし、不安を鎮め、平均寿命を延ばし、心の絆を深める。体の触れ合いによって快楽物質のエンドルフィンが分泌された。なかでもオキシトシンが絆を深める役割を果たす。研究者たちは子どもにとって体の触れ合いが不可欠なことを明らかにしていて、IQを伸ばすだけでなく、社会生活に必要な能力も発揮させるうえで重要だという。触れられずに育つ子どもは、感情的にも知的にも、まさに痩せ細る。ただし、体の触れ合いが必要なのは子ども時代だけでなく、一生の問題だ。

 

 

私は、敬意を表して適切に体に触れることが、ビジネスの世界でも重要だと確信している。問題は、すべてのノンバーバルに共通のこととして、相手の快適さのレベル、社会規範、前後関係をよく理解することにある。私は生まれつきハグが好きで、それは友人のあいだでは周知の事実になっているが、体を近づけるのを嫌がる人が多いことは承知している。ノンバーバル・インテリジェンスの役割のひとつは、個人個人が必要としている距離と触れ合いの程度を見極め、尊重することにある。老人ホームを訪問してみると、高齢者は心と体の触れ合いを極度に必要としていることに納得がいく。だからこそ、セラピードックの慰問がとても重要なのだ。

 

 

観察力を発揮して、触れることによって快適さのレベルを測ってほしい。よくわからなければ、慎重すぎるくらい慎重になるべきだ。FBI捜査官が教えるしぐさの心理学でも述べているように、初対面の人に会うとき、相手に触れることなく大脳辺縁系が快適に感じられるようにする方法がある。腕の力を抜き、(私は落ち着いています)とうメッセージを送る、体の前面をよく見えるようにし、(私はあなたを信用しています)、できれば手のひらをはっきり相手から見えるようにしながら(私はあなたを傷つけません)、近づく。握手を済ませたら、斜め後ろに少しだけ下がって様子を見るように。相手がこちらに近づいてくるか、逆に遠ざかるかしたら、それがその人の必要な空間の広さを表している。