第3380 冊 プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)

 

 

 

 

第一に、組織の囚人になることを防ぐからである。あらゆる人が、決定を行う者から何かを得ようとしている。特別のものを欲し、善意のもとに、都合のよい決定をしてもらおうとする。決定を行う者が、大統領であろうと、設計変更を行う新人の技術者であろうと変わらない。それら特別の要請や意図から脱するための唯一の方法が、十分検討され、事実によって裏づけられた反対意見である。

 

 

第二に、選択肢を与えるからである。いかに慎重に考え抜いても、選択肢のない決定は向こうみずなばくちである。決定には、常に間違う危険が伴う。最初から間違っていることもあれば、状況の変化によって間違いになることもある。決定のプロセスにおいて、他の選択肢を考えてあれば、次に頼るべきものとして、十分に考え抜いたもの、検討済みのもの、理解済みのものをもつことができる。選択肢がなければ、決定が有効に働かないことが明らかになったとき、途方にくれるだけである