第3238冊目 家族のためのユマニチュード: “その人らしさ”を取り戻す、優しい認知症ケア  イヴ・ジネスト (著), ロゼット・マレスコッティ (著), 本田 美和子 (著)


家族のためのユマニチュード: “その人らしさ

家族のためのユマニチュード: “その人らしさ"を取り戻す、優しい認知症ケア

  • 触れる手は相手にメッセージを伝えている


体を拭いたり、着替えたりするなどの日常的な介護で相手の腕を持ち上げようとするとき、人は、自分が相手をついつい、つかんでしまっていることに無自覚です。誰かにつかまれたとき、人は自然な反応として「この人に強制されて、自分の自由が奪われている」、「何か罰を受けている」ように感じてしまいます。これでは、介護を受ける人が「自分が大切にされている」と感じることはできません。



触れるときには広い面積でしっかりと


ですから、相手に触れるときの大原則は、つかまないことです。触れるときには下から支え、触れる面積をできるだけ広くすることによって、触れた部分にかかる力を和らげます。


つい指先でトントンと肩をたたいて注意を引こうと思ったり、相手の腕を動かないように上から押さえつけてしまったり、口を開けてもらおうと口の周りを指でつっついてしまうことも、相手に否定手なメッセージとして届いてしまいます。


触れるときにはある程度の重みをかけることも大切です。目安としては、自分の腕の重みを相手に委ねる感じです。しっかりと触れることで「安心していいですよ。私はあなたと一緒にここにいます」と言葉によらないメッセージを届けることができます。