第3237冊目 家族のためのユマニチュード: “その人らしさ”を取り戻す、優しい認知症ケア  イヴ・ジネスト (著), ロゼット・マレスコッティ (著), 本田 美和子 (著)


家族のためのユマニチュード: “その人らしさ

家族のためのユマニチュード: “その人らしさ"を取り戻す、優しい認知症ケア

  • 耳が遠い方には、あえて低めの声でゆっくり話す


耳が多い人に話しかけるとき、私たちはその人の耳元で話します。でも、それでは誰が自分に話しているのかご本人にはわかりません。
「見る」のところで説明したように、認知症の人が認識している視野は私たちが想像しているようりも狭く、視野の外から声をかけても、誰かが自分のそばにいるとは気がつかずに、言葉も認識していないことが多いのです。


ですから、耳元で話したら、すぐにご本人の視野の中央に体を移動させ、相手の目と自分の目を合わせる「見る」技術を使います。はたから見ると、とても不自然です。でも、この不自然な動きによって、見ることと話すことを同時に行うことができ、介護を受けている人は「自分の周りに誰かがいて、その人は私のことを大切にしてくれている」と感じることができる、重要な技術なのです。


さらに、次にご紹介する「触れる」ことも加えて同時に行うことで、複数のコミュニケーション技術を同時に行うマルチモーダル・コミュニケーションはより強固なものになります。