第3228冊目 負けてたまるか! 若者のための仕事論  丹羽 宇一郎 (著)


負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)

負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)

  • 無能な上司はそんなにいない


今思えばお恥ずかしい話ですが、若い頃の私は、相当に自負心の強い人間でした。本書であれこそ説教臭いことを言うのは、それがすべて私の通ってきた道だからです。先輩や上司はなんてバカなんだ、くだらないやつだ、と腹の底から思うことも、一度や二度ではありませんでした。


きっと若者も社会人になったとき、そのように感じる局面が出てくることと思います。


しかし、そこで考えてみてほしいのは、上司は果たして本当に無能か、ということです。無能というとまるで知識もなく、浅薄なイメージがありますが、そういう上司はなかなかいるものではありません。それなりの経験を積み、責任を取れる能力があるから上司として存在しているわけです。


また、上司だって一〇年社員と同じように現場を歩いてきたのですから、その意味では現場における能力もあるのです。しかし今は、第一線ではなく、もっと幅広く業務を把握し、取り仕切らなければなりません。入社して一〇年くらいまでの社員のほうが現場に精通しているのは当たり前のことでしょう。役割が違うだけの話です。