第3225冊目 負けてたまるか! 若者のための仕事論  丹羽 宇一郎 (著)


負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)

負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)

  • 「空いた時間」などない


昨今の不況で、会社は残業を減らして人件費を抑えています。ところが社員の中には、残業せずに早めに帰宅すると、何をしたらいいかわからず、戸惑っている人が多いと聞きます。しかし私に言わせれば、働き盛りの人に「空いた時間」があること自体がおかしいのです。これは新入社員でも同じです。


もし私の空いた時間ができたら、仕事についてじっくり勉強する時間をもらったと思って喜びます。たとえばその時間に取引先や担当する仕事の「現場」を回ることもできる。資料をできるだけ読み込んで理解を深めることもできる。実践と学習をアフフヘーベン(止揚)するというわけです。


人と同じことをやっていても、人と同じにしかなりません。広報の仕事をしているなら「日本一の広報マン」を目指し、広報と名のつく本を片っ端から読んでみてもいいでしょう。営業の仕事なら、社外の研修を受けたりして自分のクオリティを高めてもいいし、心理学に関する勉強をして、そこから独自のノウハウを培ってもいいでしょう。突然できた自由な時間は、人と同じにならないために勉強する絶好のチャンスなのです。


働き盛りの人は、細かいことは気にせず、どんどん本を読むことです。人は仕事で磨かれるものですが、読書によっても磨かれます。空いた時間があるなら、とにかく何でもいい、興味のある本を手に取ってみてほしいと思います。