第3228冊目 負けてたまるか! 若者のための仕事論 丹羽 宇一郎 (著)
- 作者: 丹羽宇一郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/04/13
- メディア: 新書
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- 自分の評価は他人が決める――私を変えた一言
私の経験から言うと、若いときというのは、小生意気なものです。会社ではトンボにもなっておらず、まだアリの段階なのに、自分の担当している仕事がすべてだと思って、「俺はこれだけやっている」という強烈な自負心が芽生えてくるのです。
上司の立場からすると、とくに入社一〇年くらいたった人が、一番始末が悪い。同じ分野の仕事を続けていれば、それなりに業務に習熟していきます。すると、「この分野については俺が一番だ」とか、「俺は何でも知っている」という気持ちになるのです。ついでに周りが皆、バカに見えてくる。実際、現場のことをよく知っているのは、こうした一〇年社員であることが多いのですから仕方のない話かもしれません。
私の場合、入社当時から始末が悪かった。相当に鼻っ柱の強い新入社員でしたから、「なんだ、あいつは」と思われることもしばしばだったのではないかと思います。名古屋郊外の田舎で育ち、言葉遣いやマナーも知りませんでした。背広は一着だけしか持っていませんでしたし、髪はボサボサで、およそ世間のイメージする商社マンになるまじき姿です。入社後、しばらくしてから上司から「ポマードくらいつけてこい」と言われてことがありましたが、「なんでそんなものをつけなきゃいけないんだ」と反発していました。
「丹羽君、君は自分の能力を自分で評価しているようだけど、自分の能力は他人が評価するもんあんだ。自分でしちゃいけないよ」
私はこの言葉に、ものすごくショックを受けました。頭がガーンと殴られたような衝撃だった。
そのうちに、彼が言っていた言葉の意味がわかるようになりました。会社においては、自分の評価など何の足しにもならないのです。
付け加えて言えば、会社における評価の基準とは何かというと、私は「周りからどれだけ必要とされるか」だと思っています。「この人だから任せよう」とか、「あなたがいないと困る」といった具合に、周囲から必要とされる人間になることです。自分で自分の能力が高いと評価しているうちは、まだまだなのです。