第3224冊目 負けてたまるか! 若者のための仕事論  丹羽 宇一郎 (著)


負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)

負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)


このDNAのランプは、いつ灯るかわかりません。一〇年後かもしれないし、明日かもしれない。あるいは数時間後かもしれません。ただ一つ言えるのは、諦めたらそこで終わりだということです。もう一生、ランプが灯ることはない。だからこそ一生懸命に努力を続けるしかないのです。


では、どれだけ努力を続けたらDNAのランプがつくのか。残念ながら、その答えはありません。しかし私の考えを言えば、努力を努力と思わなくないようになるまで、です。


先にも述べた元巨人軍監督の川上哲治さんは、現役時代、「打撃の神様」と言われていました。彼は、一時間に三〇〇球をひたすら打ち続ける練習を決して欠かさなかったといいます。大変な努力家で、基本を疎かにしませんでした。監督時代は、V9を達成し、巨人軍の黄金時代を築き上げた人でもあります。


第一段階は、基本練習をとことんやるということです。ヘトヘトに疲れて倒れるまでやるのだそうです。


もっともプロと言われる人たちは、誰でもこのくらいのことはやっているでしょう。彼のすごいところは、こうして疲れて倒れても、まだ練習を続けるということです。これが第二段階です。


それをさらに続けるとどうなるか。疲れを超越して、無我の境地に至るそうです。「三昧境」というもので、我を忘れるのです。この第三段階までいくと、川上さんの場合、バッターボックスに立ったらボールが止まって見えたそうです。


周りの人は皆、彼を天才だと神様だと言うかもしれません。けれど、当の本人は、誰にも負けないくらい、とことんまで努力しているのです。だからこそ、DNAのランプがつくのです。