第3224冊目 負けてたまるか! 若者のための仕事論 丹羽 宇一郎 (著)
- 作者: 丹羽宇一郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/04/13
- メディア: 新書
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- 「不本意な異動」なんてない
長いことと社会人生を送っていると、ときには自分が希望しない「不本意な異動」というものに見舞われます。でも、私の信条は、「人は仕事で磨かれる」です。
つらい仕事ほど人を成長させるものです。したがって、誰もやりたがらない厳しい部署への異動は、逆に喜ぶべきだと思っています。お金をもらってつらい仕事を経験させてもらえるというのは、むしろ天恵と言ってもいい。
組織の論理として、能力のない人間に厳しい仕事をさせることはありません。能力があるからこそ、つらい仕事をさせるのです。うまくいっていない部署に「立て直してこい」と送り込む。
したがって、若いときに赤字の部署や子会社に送られたなら、「俺はついていない」とか「俺は必要とされていない」「左遷じゃないか」などと考えるのではなく、それを好機と捉えるべきです。人事異動の喜怒哀楽など、情報不足や勝手な思いこみだけで、実際はどこに行ってもチャンスはあります。
宮大工の小川三夫氏は、石や岩の間から芽が出て、風雪に耐えて大きくなった木が、何百年ももつ頑丈な大木になるのだと言っています。温室で育ったような木はフニャフニャで、すぐに倒れたり腐ったりする。
人間も同じです。風雪に耐えて、苦しい中から芽を伸ばしていく。この力は、実際にそういう感情にいなければ育ちません。
また、厳しい職場でつらい体験をすると、弱い人の立場がわかるようにもなります。どん底にある部署ならなお結構。失うものは何もないのだから、あとは前進あるのみです。