第2505冊目 人の印象は3メートルと30秒で決まる―自己演出で作るパーソナルブランド 江木 園貴 (著)


  • 自分のほうから笑顔を作る


仕事がつらいとき、悩み苦しんでいるときに、赤ちゃんの笑顔を見て、その純真な愛らしさに、ふっと口元が緩み、思わず笑みが出てしまったという験はありませんか。これは、「ミラーリング効果」と呼ばれる心理現象で、相手の表情が、伝染して自分の表情にも表れる法則です。

笑顔を向けると笑顔が、悲しみの表情をすると、悲しみの表情が、相手にうつってしまうのです。この効用をふまえると、よい第一印象を与えるためには、自分から笑顔を向けなければいけません。


いかなる場所でも、笑顔の及ぼす作用は絶大です。


私はさまざまな医療関係者の取材をしてきましたが、ひと頃、健康づくりの一環として、「スマイル運動」を推奨する医師が多くいらっしゃいました。泣きたいときにも、笑顔を作ると、いい「気」が巡り、実際に落ち込んでいた気分が高揚してくるというものです。また、とにかくネガティブになりがちな末期医療の現場では、末期患者に、定期的に落語や漫才を聞かせて、「笑い」を加えると、細胞が活性化され、時には病状の改善が認められたというケースも出ています。


表参道福澤クリニックの福澤院長は、高脂血症を専門とする内科の医学博士であり、別の名を「立川らく朝」というプロの落語家でもあります。福澤先生(らく朝さん)が繰り広げる健康落語には、学びながらも多くの笑いが溢れています。高座をご覧になった患者さんから「元気が出た」「気分が晴れた」「楽しかった」と言われることが多く、実際に症状の改善がみられる場合もあり、やはり笑いが健康によいと実感されているそうです。


それほど楽しい気分でなくとも、自分から笑いを作れば、自分も朗らかな気分になりますし、相手も気持ちがほぐれ、自然と笑顔が生まれるのです。第一印象で場を和ませるためにも、まず自分から笑顔を作りましょう。


深刻に煮詰まった場の空気を変えるために、「ところで」と、笑顔で楽しい話題を切り出すことも効果的です。


どんなにつらい局面でも、笑顔を忘れずにいることで、どれだけ周りが助けてくれたかを思うと、やはりいつも笑顔でいてよかったと実感するものです。今まで、嫌なことがあるとすぐに顔に出てしまったり、つい不平が先に立ち、仏頂面をしがちだった人も、この「自分から笑顔を作る」習慣を身につければ、今まで感じていた不満は、何だったのかと思えるほど、自分の気持ちや周囲の反応が変わってきます。


そうはいっても、笑顔を作るのが苦手な「笑顔下手」な人も多いものです。笑顔がうまく作れない人は、顔の筋肉がうまく動かせないことが原因です。表情筋を鍛えて、あなたなりに素敵な笑顔を作れるようになりましょう。