第3221冊目 負けてたまるか! 若者のための仕事論  丹羽 宇一郎 (著)


負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)

負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)

  • アリのように泥にまみれて働くと、どうなるか?


本書を手に取る多くの人は、新米社会人か、あるいはこれから社会に出ようとする人だと思います。私はそんな若い人たちに言いたい。


「まずはアリのように泥にまみれて働け」


ごちゃごちゃ言う前に、身を粉にして働いた人のほうが、はるかに実力をつけることができます。少なくとも、入社してからの一〇年間は、アリのように働きなさいということです。


と言っても、一〇年後がどうなっているか、想像できない人も多いでしょう。一〇年間もアリか……と呟く人もいると思います。しかし実際は、最初の数年です。


若者は右も左もわからない状態で社会に出て、それを会社がいろいろ教え、一人前になるまで育てるのです。先にも述べましたが、この間は、授業料を払うどこか給料までもらっていると考え、とにかく一生懸命に働いてごらんなさい。すると、だんだんと会社の実績、あるいは社会の仕組みといったものが見えてきます。また尊敬できる上司や、逆に反面教師にある得る先輩などと出会いもあるでしょうこれも社会勉強です。


そうして3年ほど経てば、少しずつ責任ある仕事を任され、そこに仕事の喜びを見出せるようになります。こうなればシメたもので、まずますアリのように働けるようになります。喜びがあるんだから、泥にまみれてもそれほど苦ではありません。そこから先はあっとう間です。気づいたら、「お前、なかなかやるな」という周囲からの評価がついてくるのです。


ちなみに私がどういう部下を評価するかというと、任せた仕事を私の予想以上にしっかりと心配りをして、仕上げてくる部下です。いちいち指示されないとわからない、動けないのではなく、私が言い忘れたことや、言おうと思っていたことまで手抜かりなく、完璧に仕上げてくる部下は、私だけなくすべての仕事が信頼し、評価するでしょう。


私の場合は、一回任せてしっかりと仕事をした部下には、次はさらに大きくて難しい仕事を任せます。こうやって三回任せてみて、すべてきっちりと仕事をする部下は、評価し、さらに上のポストに就かせてきました。